ダメな企画は対象・受益者が想像できない、独りよがりな企画

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企画づくりの講座をやるのでいろいろネタを集めたり、フレームワークを考えたりしている。そもそも企画なんてのはシンプルなもので、「誰に、何をして、結果どうなってほしいのか?」の筋が通っていれば、そう外れないものだと思う。

逆に整合性が取れていないと残念なものになる。ちょうど良い例を見つけたので批評してみよう。そう、長岡市が企画する広報テレビ番組「Nagaoka LIFE -ワタシ、ボク、キミ-」を例にしてね!

さて、この番組の概要は以下のとおり。

番組では、長岡市にU・Iターンした輝く若者を紹介。生活の舞台となる長岡の魅力を再発見します。

  • 放送日時:平成28年1月8日~3月11日の毎週金曜日
  • 午後11時10分~11時15分の間の2分30秒間
  • 放送局:UX新潟テレビ21
    ※放送日翌週から視聴できます。

(長岡市ウェブサイトhttp://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate02/k-tv/nagaoka-life.htmlより)

過去放送分がYoutubeにアップされおり、長岡市ウェブサイトにもリンクが貼ってあるので確認して欲しい。

私の知り合いもたくさん出ているし、映像もキレイでかっこいい。おしゃれな雰囲気もある。

しかし、正直何の狙いも分からない番組だ。

■なんで2分30秒で、しかも1人2回放送なの?

長岡市にU・Iターンした若者を紹介する番組なのだが、まず2分30秒という尺の短さ。
さらに同じ人を2回に分けて放送するもんだから、Aさんの1回目と2回目の放送ではAさんの経歴をほぼ同じ内容で説明している。2分30秒しかないのに明らかに尺が無駄。
2回放送合わせて5分のうち1分近くがほぼ同じ経歴ナレーションなんじゃね?という作り。しかも番組のオープニングとエンディングがあるので、コンテンツは実質3~4分。それで何を伝えるの??という根本的な疑問が生まれる。

■最初から盛り込みたいコンテンツに無理がある

番組の紹介文では「長岡市にU・Iターンした輝く若者を紹介。生活の舞台となる長岡の魅力を再発見します」と書いてある。
しかし、「輝く若者」の輝きっぷりを伝えるのと、「生活の場所」の魅力っぷりを伝えるのはどう考えても別のコンテンツ。実質3,4分しか尺がない番組で欲張り過ぎ。どうして両方を盛り込めると思ってしまったのか?

そもそも、冷静に考えると「輝く若者を紹介」することと、「生活の場の魅力」を伝えることは別物だ。視聴者の気持ちになって考えてみて欲しい。

  1. 「輝く若者を紹介」 → 視聴者「こんな魅力的な人かっこいい!憧れる!」。 → 別に、その人が住んでいる場所は関係ない。むしろ場所に関係なくいろんな分野で活躍する輝く若者を知りたい。
  2. 「生活の場の魅力」 → 視聴者「こんな環境で生活したい!暮らし方に憧れる!」。 →別に、魅力的な人の存在は関係ない。むしろ、土地の特性やメリット。住んでいる多くの人の満足度、施設サービスの利用方法などを知りたい。

と、全く提供するべきコンテンツが違くなるはずだ。①≠②にも関わらず企画を組んでしまった時点でかなり残念と言える。

もちろんちゃんと尺を取れるならば、両方を狙っても良かったのだが……。いかんせん中途半端感がすごい。若者の魅力も引き出しきれていない。長岡については「え?あの番組長岡だったの?ふーん」レベル。

■なんで県内放送なの?

だいたい、一番リーチが伸びるはずのテレビ放送なのに、新潟県内の地方局で流す意味あるのだろうか?一体、誰にU・Iターンをしてほしいのか?

「いや、youtubeに上がっています」と言いたいのかもしれないが第1回が2,400再生で、それ以降は数百。結果が物語っている。

インターネットを活用しようと言う面においても残念感がすごい。
おそらく2分30秒というのは放送枠を買い取り、番組制作してもらう予算の中で決まったことだろう。つまりテレビ放送のための都合だ。そして、テレビは毎週放送なので、前週に見れなかった人のために登場人物の自己紹介を1回目にも、2回目にもする必要があるのだろう。

で、テレビ番組がそのままネットにアップされている。ネットでは続けて動画を見ることができる。短時間に同じナレーションを聞くとちょっとイラッとする。しかも2分30秒を2本見せられるのに、内容カブリ、OP、ED含めると、内容は極めて少ない。だったらテレビ放送2回分を編集して4分動画くらいにすればいいのに。見る側の都合を考えたらそこまでするよね。

ということで、完全に作りて側だけの都合で何か企画を動かすと、こんなふうになってしまうんだなぁというお手本のような企画。

映像もキレイでかっこいい。おしゃれな雰囲気もある。けれど、何も伝わらない。動かない。

内輪での評判は良さそうだけど、何とも残念な税金の使い方だなぁと思う。

■UX新潟テレビ21も突っ込みどころ満載

発注者の企画がボヤンとしていると、制作側も大変なんだと思うが、よく見るとUX新潟テレビ21も結構残念。

まず、番組紹介ページにあるこれ。

番組紹介

 

「#Nagaoka LIFE」

って何でスペース?何したいの?? ハッシュタグを作ってtwitterで番組の感想を集めたかったのだろうか?
もちろんスペースが入ってしまった時点で「#Nagaka」になるはず。
それともかっこよさそうだからハッシュタグを入れたのだろうか??ちょっと恥ずかしい。

さらに検索すると……

検索

 

んん?「Hello World!」??

ハローワールド

やはりこれは「Hello World!」。
WordPress初心者かよ!

テレビ局。メディアの立場がこんな感じでいいのか?と私なんかは思ってしまう。やるならちゃんとやってほしいよね。

 

総じて言えるのが、対象・受益者の立場を踏まえてどういう企画にすれば良いか考えることが、良い企画になるセオリーだということ。逆にダメな企画は対象・受益者が想像できない、独りよがりな企画ということに尽きるのではないだろうか。

さて、

それにしても、このエントリーは身内を批判しすぎた気もするので、もしかしたら削除するかも。

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