2016年を振り返って

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恒例の1年を振り返るエントリーを今年も書こうと思う。

2016年は歴史の大きな転換点となるような出来事が多発した年だった。ある時代に描かれた人類の理想社会のひとつが、さまざまな形で否定されたと言えるのではないか。今の私たちが、未来から見れば激動の中にいるのは間違いない。

 

とは言え、私個人の生活感から言えばそんな大きな時代の渦に巻き込まれているという実感も薄く、日々小さな悩みと、幸せを感じながら、変わらずに生きている。

 

私は今年、31歳になった。

昨年の30歳は「30歳までに仕事で一定の成果を挙げられるか否か」を、社会人生活のひとつの節目だと思っていた。そんな感慨深く迎えた30歳と違い、あまり覚悟もなく31歳になってしまった。

 

とは言え、いろいろと考え抜いた一年だった。

 

仕事では、組織人としての自分と、個人としての自分の折り合いの付け方に苦労をした。

組織ではかなりマネジメント業務を引き受けていたのだが、いい経験をさせてもらった。全部自分でやったほうがよっぽど早く、クオリティの高いものができる。しかし、そんな時間はないし、一人でやれることには限界がある。他人とどう一緒に仕事をしていくのか?というのは、非常に難しい。しかし、それが上手くできれば、自分ひとりのときの何十倍も大きな範囲の仕事が扱える。とても、やりがいのあることだと実感した。個人的には、今のメンバーが揃っていて、しかも自分がわりと自由に方向性を決められるのにも関わらず、成果は満足行くものではなかったことに、力不足を感じている。

また、組織内でだけなく、行政や理事会、他機関など、他組織との利害調整や同じ方向性を向いて何かする場合の、「調整」の難しさを、身をもって学んだ一年だった。足並みを揃えるということが、組織内はもちろん難しいが、組織同士となると、ここまで時間がかかるとは…。よっぽど単独で勝手に決め、取り組んだほうが、センスも効果も高いことができるだろうと思った。もちろん、個人でやるより、組織でやるより、組織同士でやったほうがでかいことができるんだけど……、ただプロセスは面倒くさいし、できることも斬新じゃないし、すげー大変。「そこまでしてやりたいか?」と聞かれたら「うーん」と言わざるをえない。

どちらも非常に良い経験だったが、「他人の組織の中でやっている」感を最後まで拭うことができなかった。特に行政やNPOは「誰の組織」という立場性が薄い。最終的に誰が覚悟を決めて責任を取るのかがよくわからないのだ。これは組織の成り立ちや、構造上、もう仕方がないことなのだ、ということを理解できたのも今年の成果だと思う。無理に変えようとしても暖簾に腕押しだ。「2016年にやりたいこと」みたいなエントリーを年初に書いた時には、変えられると思っていた。けれど、(今の立場では)無理ということがわかったのは良かった。

 

フリーのライター/編集者としては、また細々と委託の仕事をしている。

個人でも「雪出版」という活動をはじめたので、もっとちゃんと時間割いてやりたいと思いながら、ぜんぜんできない一年だった。

 

プライベートでは妻とよく畑に通ったことがとても楽しかった。毎週日曜日に新潟市西蒲区にある福井という集落で、畑作業とみんなで朝ごはんを作って食べる会をしている「まきどき村」に今年もお世話になった。今年は集落の人と一緒に休耕田を復活させ、田植えと稲刈りをしたり、畑も集落の人が手伝ってくれたりと、充実した活動ができた。畑作業を通じて、自然と人間の関係、脳化社会と自然の関係などをかなり深く考えた。

 

また、新潟市西区の内野駅前に会った本屋「ツルハシブックス」とカフェ「イロハニ堂」が10、11月に閉店してしまったことは非常にショックだった。フリーランス時代に通い始めてから、現在のNPOに勤めてからもずっとずっとお世話になっていた大切な場所だった。妻と出会えたのもこのお店のおかげだったので、その場所がなくなるのは残念でしかたなかった。ツルハシブックスも、上記の「まきどき村」も「西田卓司」さんという男が産んだ場なのだが、次々とコミュニティを生み出すセンスはすごい。「コメタク」や全国にひろがる「ハックツ」など、コミュニティデザイナーとして尊敬している。西田さんは「ツルハシは居場所になってしまい、失敗だった」と言っていたけれど、むしろ私は居場所を作ってくれてありがとうと言いたい。中高生じゃなくてさまよえる社会人をターゲットにして欲しい。うーん。話がだいぶそれてしまった。

 

冒頭にいろいろと考えたと書いたが、

何となく自分の思想がまとまってきたようにも思う。

影響を受けた人を羅列すると、何となく私の思考の範囲が見えてくる気がする。

 

・東浩紀 氏

・養老孟司 氏

・川上量生 氏

・押井守 氏

・鈴木敏夫 氏

・広井良典 氏

・宮本常一 氏

・内山節 氏

・Pha 氏

・伊藤洋志 氏

・佐々木俊尚 氏

・加藤貞顕 氏

・三島邦弘 氏

・松浦弥太郎 氏

 

とりあえず、ずっと追いかけていたり、今年本を読んで気になったりした人をあげてみた。下2人は実はあんまり共感しているって訳ではないのだけれども、やっていることが羨ましくて、妬みみたいなもので結構書籍を買ってしまうのだ。きっと気になっているのだろう。

今年になって、新規で追加されたのは「広井良典」氏と「伊藤洋志」氏。広井さんは、「ポスト資本主義」という本を読んで初めて知った方だが、その主張がとてもおもしろく感動した。伊藤さんはナリワイの人として読んだことがあったのだが、今年「フルサトをつくる」を今更ながら読んでみたら、広井さんや養老孟司さんの理論を実践している人といった印象を受けて、個人的に大ブレイクした。

 

個人的に共通していると思っているのが、「人間」の捉え方。

「脳」に最適化された社会と

自然の中で生きるのに最適化されている「体」

そのギャップが現代の息苦しさを感じるポイントではないかという雰囲気のことを結構語っている人たちのような気がしている。

「自然の中で体をチューニングし直す」という視点を、私も活動の中に応用していければなぁと、ラインナップした方々に影響を受けている。

 

さて、いつになくとっちらかった振り返りだが、この続きは2017年の抱負的なエントリーになると思うので、改めて書こうと思う。

 

お付き合いの会った方、なかった方、どちらもお世話になりました。

良いお年をお迎え下さい。

 

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