「関わりシロ」という言葉を知っていますか?
「関わりシロ」2016年11月に協働センター主催の講座でお呼びした、雑誌ソーシャル&エコマガジン「ソトコト」の編集長・指出一正さんが教えてくれたキーワードです。「関わりシロ」とは「その地域に自分が関わる余白があるかどうか」。今どきの人たちは、ただサービスを受けたり、買い物をしたりするよりも、地域の人と何か一緒になってできることを求めている。だから、地域自慢をするのではなく、むしろ弱みを見せて、地域に関わってもらえる余地をつくるのが、これから地域を盛り上げていく上で大切なんだそうです。
私にも、確かに思い当たる節があります。
私の関わる集落に、茅葺屋根の古民家があるのですが、昨年その屋根が傷んでしまい、一部をトタン屋根で覆わなければいけない恥ずかしい状況になってしまいました。
茅葺屋根の修復のためには大量の「カヤ」が必要になり、人を集めて「茅刈り」を行うことになりました。
人手が必要だったのでインターネットなどを使い
「助けてください!屋根に穴が開いてしまいました…」
と素直に発信したところ、40名近くの方が「茅刈り」に協力してくれることになったのです。
茅刈りに参加してくれたのは、ほとんどが集落外の人。大学生から社会人まで、たくさんの若手が協力してくれました。さらには京都から「茅刈りをしてみたい!」と、大学の先生が生徒を連れてやってきてくれたのです!
参加してくれた皆さんは
「何か、やってみたくなって」
「面白そうだったので」
「茅葺屋根が好きだから」
「人手がいるって聞いたので」
「運動不足なんで」
などの理由で参加を決めたそう。
重労働だったのですが、みなさん楽しそうに作業をしてくれました。
汗をかく皆さんがイキイキとしている姿を見て、「関わりシロ」ってこういうことか~と、ちょっと納得しました。
「立派な茅葺屋根を見に来てください」
ではなく、
「茅葺屋根を守るために、一緒に作業しませんか?」
の方が、「関わりシロ」があります。
後者の方が大変だし、来てくれる人は少ないかもしれないけれど、「地域の人と一緒にやった」という経験があるぶん、本当に地域を好きになってくれる気がしました。
「関わりシロ」。
外の人と一緒に何かやれる余地。
それをどう用意するかという点の大切さを知りました。
ポイントはおそらく「誰かにとっての非日常か?」という点。
実は、茅刈りは毎年集落の人たちとコツコツと行っている行事でした。集落の人にとっては当たり前の作業だったのかもしれません。しかし、大学生や他の人にとっては「茅刈り?やったことない!なにそれ!」と、非日常の体験になるのです。だから喜んで手伝いに来てくれたのだと思います。また、除雪ボランティアなども関東圏の「雪かきが非日常」の人たち程、喜んで関わってくれると聞きます。
皆さんにとっての当たり前の活動と、誰かの非日常が重なる時、そこに「関わりシロ」が生まれるのかもしれません。
そのためには、強がらず、自慢せず、素直に「助けてー」と声を上げてみることから、初めて見るのが良いのではないでしょうか?