伝統や地域文化を「守る」のではなく「新しく作る」

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4/27、『角海浜物語』×『阿賀に生きる』いろり座談会&上映会、というイベントに参加しに、西蒲区の岩室と福井に行ってきた。
当日の朝は、「まきどき村」という農作業をしてから朝ごはんを食べるという素敵なイベントがあり、それにも参加したため、朝の4時半起き。夜型人間にとっては非常にハードだったが、久しぶりに農村文化に触れることができ、とても豊かな日曜日を過ごすことができた。
10時から開催された映画「阿賀に生きる」の上映会。そして14時からのいろり座談会。さらには17時からの懇親会にも参加させていただいた。それぞれに、かつてあった農村文化の豊かさ、失われていく文化の現実を様々な角度から考えさせられる会だった。
この会のテーマについては、公式ホームページに意図が記載されているので参照して欲しい。
さて、古き良き文化、生活が失われていく。これはとても悲しいことでもあり、勿体ないことでもある。私は大前提として「農村文化」や「地域の伝統」というものは、残していきたいと思っている人間だ。ただ、その方法論として、「前近代に帰る」、「自然に戻る」と言った論調にはあまり賛同できない部分がある。
「地域文化を守ること」と「経済成長」は、対義語のように扱われる事が多くあるが、両立をさせることができるのではないか。会の間、そんなことをずっと考えていた。

座談会の中で、福井集落に住む斎藤文夫さんのお話の中で、福井集落の河川工事の話があった。ホタル舞う川を残すため、通常の河川工事ではなく、自然を残した形の整備をするため、行政や議員などに掛け合い、大変な苦労の末、成し遂げたという話だ。
実際に朝、畑作業をした後で、整備された川を散歩したが、なるほど自然豊かな川が人工的に作られており、地域の景観そして生物の多様性を守っているのだなぁと思った。
ただ、もう一方で「ものすごいお金がかかっているな」とも感じた。事実、座談会の中で斎藤さんもウン億円の工事費がかかったというような話もしていた。通常の河川工事よりも莫大な費用がかかっているということだ。
これは、自然をただそのままに残した、昔に帰ったという話ではなく、「経済成長」という基板があってこそ「自然を守ることができた」のだということだと思う。
経済成長があったからこそ、自然保護ができた。裏を返せば、自然を守るためには経済成長が不可欠だったとも言い換えられるのではないだろうか。
会場となった、福井旧庄屋佐藤家は茅葺屋根の素晴らしい日本家屋だ。
この建築も、実は一度家主が壊そうと決断したことがあったそうだ。それを、斎藤さんらが中心となり保存しようという話になったのだという。
かつて個人のものだった福井旧庄屋佐藤家は、今はボランティアやら補助金、またはこの日のようなイベント会場としてなど、多くの人によって維持管理されている。そして、かつては「住居」であった福井旧庄屋佐藤家は、今は「人が集まる場」としてその役割を変えている。
尊い農村文化、地域の伝統、自然豊かな土地。これらは絶対に残していくべきものだと私は考えている。
その方法として「今のまま残す」や「自然に帰る」ではなく、近代化や経済成長の上に「新しく作る」ことが大切だと思う。福井旧庄屋佐藤家のように役割を変えるのだ。
地域資源を使い、新しい価値感を提案する時代へ。近代化をさらに推し進める。近代化のさらなる先に地域文化の保全や自然との調和を実現することができるのではないだろうか。
文化を新しく作る。これからはそういう時代だと思うとワクワクしてくる。
唐澤頼充

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