個人活動の積み重ねが地域の魅力を作る @サケ×アテグランプリ2013新潟大学日本酒サークル「雪見酒」が王者に

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先日ラジオのニュースを聞いていたら、新潟大学の学生サークルが、「サケ・アテ・グランプリ2013」でグランプリを受賞したというニュースが流れてきた。調べてみると、渋谷ヒカリエで開催されていた「食の絆サミット2013」というイベントの中で行なわれていた催事のひとつだったようだ。





食の絆サミット2013:http://www.shoku-no-kizuna.jp/
「食の絆サミット2013」は、農林水産省が主催した、郷土料理や伝統野菜、和食器といた日本食の魅力を見て・知って・楽しむイベント。11151617日の3日間開催された。「サケ×アテグランプリ2013」のほか郷土料理や、伝統野菜の紹介、食材を購入できるマルシェ、「料理マスターズシンポジウム」などステージイベントなど食にまつわるさまざまな催しが行なわれたようだ。
今回新潟大学のサークルがグランプリを受賞した「サケ×アテグランプリ2013」は、全国から選抜された地域の大学生がプレゼンテーションする“日本酒”と“肴”を味わうイベント。地域文化に根ざした日本酒と、その土地で作られたつまみの組み合わせを競った。



新潟大学が提案したのは南魚沼市の青木酒造がつくる「鶴齢純米」と、村上市の越後村上うおやがつくる「鮭の酒びたし」の組み合わせ。酒(サケ)と鮭を(サケ)をかけた組み合わせが当グランプリの初代王者に輝いた。グランプリにエントリーしていたのは、北海道の室蘭工業大学、山形大学、東京情報大学、名城大学、関西大学、鳥取大学、熊本県立大学。新潟大学を加え8校。公式ホームページでは“選抜された”との文言があるが、参加大学が少なすぎる印象を受けた。とは言え優勝は優勝。素直に喜びたい。
実際にグランプリを戦ったサークルの名前は新潟大学日本酒サークル「雪見酒」。新潟の日本酒の情報発信とのため、飲んだ日本酒の感想をホームページに掲載して発信する活動をしているそう。私が在学中(04-08年)にはあったサークルなのだろうか?記憶にはないが、きっとマイナーなサークルなのだろうと思ったら、20123月にサークル結成したそう。雪見酒のホームページでは、入会申込書に「一般の方」というものがあり、新潟大学の学生でなくても入会できる面白い形態のようだ。県内外の日本酒好きの方は入会を検討してみてはいかがだろう?
 雪見酒ホームページ:http://yukimizake.com/index.html
私はニュースを聞くまで、「食の絆サミット」のことも「サケ×アテグランプリ」に新潟がエントリーしていたこともまったく知らなかった。もちろん雪見酒という名前のサークルがあることも知らなかった。世の中では、大半の人が知らない間にイベントが開催されていたり、賞ができていたりする。
無名のイベントに、無名の個人や団体が参加している。そんな、無名のイベントがいくつも開催され、無名の個人や団体が活動をつづけ、いつの間にか世の中の流行をつくっていくのだと思う。世間と言う大きなものは、その細部を見れば統一感のない有象無象の集合体なのだ。
「食の絆サミット」という一般人には無名のイベントの、さらに一つの催事で新潟が優勝した。そこには、無名の新潟大学日本酒サークル「雪見酒」が世間に知られることなく活動を積み重ねた結果、出場につなげ、グランプリを受賞した。この成果の影響力は小さいかもしれない。しかし、このような活動と結果の積み重ねが、きっと新潟の酒処としての魅力につながっていくのだと思う。地域づくり、まちづくりというのは、行政や中間支援組織の仕事ではなく、こうした個人活動の積み重ねによって行っていくものではないだろうか。
「新潟は情報発信がヘタ」は嘘だと思う(http://karasawayorimitsu.com/post-0-50/)というエントリーでも書いたが、地域の魅力は個人活動の積み重ねの総量によって決まってくるというのが私の持論だ。「アキハバラ」がオタクの聖地となった理由は、決してプロモーションの成果や、行政の戦略、企業の戦略などではなく、単にアキハバラという土地でオタク活動を行なう個人が圧倒的に多かったからだ。
今回の全国優勝はまさに個人活動がひとつの成果を出した事例だと思う。このような活動をする個人が酒だけではなく、さまざまな分野でたくさん活動を続ければ地域の魅力は間違いなく高まっていくと思う。私たちの個人活動は地域づくりにつながっている。そう自信を持って好き勝手に活動を続ける個人がたくさんいて、そして長く活動を続けて欲しいと思うし、私もそんな個人であり続けたい。

ライター 唐澤 頼充

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