チームに競争がなければ衰退するという教訓 @サッカー日本代表に学ぶ

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サッカー日本代表が現地時間19日、アウェーでFIFAランク5位と勢いがあるベルギーと試合を行い、3対2で勝利した。その前のオランダ戦は2対2で引き分けと、11月の欧州遠征は1勝1分けの成績。最近調子の上がらなかった日本代表にとっては復調が見える結果だったと各所で盛り上がっている。
これまでと大きく変わったことと言えば、キャプテンの長谷部選手がインタビューで答えていたように「チーム内のポジション争い」が激化したことだと思う。

2010年に日本代表に就任して以来、ザッケローニ監督はメンバーを固定して指揮。アジア杯で優勝するなど成果を上げてきた。しかし、W杯最終予選あたりからチームの調子が上がらず低迷し始め、今年6月のコンフェデ杯から10月の欧州遠征では結果も内容も伴わず深刻な不振に陥っていた。
そして、W杯まであと半年程度に迫ったこの時期に、メンバーを入れ替えチーム内に競争を発生させた。11月の欧州遠征の時点では、チーム内競争がチームを蘇らせる結果につながったと評価できる。
チームというのは不思議なもので、ピークを過ぎると嘘のように力を失っていく。ザックジャパンも一時期は「歴代最高の代表チーム」と呼ばれた時期があり、私もそう思っていた。その最強メンバーが、「さぁ、俺たちで世界を驚かせよう」とモチベーションを高めていったが、皮肉なことに2011-12でそのピークは過ぎてしまったようだ。今年6月のコンフェデ杯は、日本の最強メンバーが世界とどこまで戦えるか、ファンはもちろん、きっと選手たちが一番団結し、気合を入れて挑んだ大会だったと思う。しかし、ピークを過ぎた最強チームは最悪の結果で帰国することになった。

「チームは生き物だ」と言われるが、その一生は人間よりもはるかに短い。特にスポーツでは当てはまり、同じメンバーで最高のパフォーマンスができる“旬”は一瞬だ。そのためバルサやマドリーといったビッククラブが前年でいくら良い結果を出しても、次の年に大型補強をしたり、中心選手を移籍させたりしてしまう。完成されたチームを自ら壊し、また作り始めるためにだ。ファンとしてはどこか寂しい気もするし、ヨソから来た選手に最初は反感を持つ方もいるかもしれない。きっと選手もそうで、同じメンバーでずっとやっていたいはず。しかし、それでは不思議と勝ち続けることはできないし、チームが劇的に良くなることもない。

スポーツチームほどでないにしろ、ビジネスやコミュニティのチームも同様であると思う。新しい人を無理やりにでもチームの中に入れ、チーム内で競争をさせる。これがなければ衰退の一途を辿ってしまう。特に今の地域コミュニティがガタガタになってしまったのは、メンバーの硬直化によるところが大きいのではないか。また、新しく立ち上がっているコミュニティにおいても、いつも同じメンバーでは発展性はない。人材の流動性と内部競争の活性化。これがチーム運営においては重要な視点だと、サッカー日本代表を見ていて改めて感じた。ビジネスやコミュニティ運営を考える上では、この部分での仕組みづくりが非常に重要な要素だと肝に銘じたい。

ライター 唐澤頼充


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