昨今、地方分権や地方の建て直しが各所で叫ばれている。
その成功の鍵を握るのはある程度の規模を持つ地方都市だと思う。
私が住む新潟県新潟市。政令指定都市のひとつではあるが、市民はそれほど都会に住んでいるという意識はない。そのためか、目線は東京へ向かっている。
東京の下請け仕事をすることが新潟市の企業の大きな財源になっているように感じる。
しかし、新潟市は市民が思っているほど規模の小さな都市ではない。
新潟市と同規模の市町村は静岡県浜松市だ。
新潟市民が一方的にライバル視している仙台は1,045,903人と新潟市より20万人近く多い。比較できる都市規模とは言い難いのがわかる。
一方で危険視している金沢市は462,478人、長野市は381,533と、思った以上に新潟市との差が大きい。
新潟市は日本海側にある点でも、周辺に大きな都市が存在しない点でも少し特殊な都市ではある。日本15位の都市であり、かつ周辺都市からの影響も少ない新潟市は都市としてのあり方をもう一度見つめなおす時期だと思う。
確かに広域合併で人口を増やした都市ではあるが、新潟市レベルで経済的自立や、革新的なイノベーションが起こらなければ日本のオワコン感は高まってしまうように思う。
日本ではこれから40年間で3000万人人口が減ると言われている。多くの街が存続不能になり、地方では地方の大都市に人が集まるようになるのは間違いないと思う。
そんな時に、新潟市が自立した都市となっているのか?非常に疑問が残る。そもそも中央から助成がなきゃやっていけないような都市だったら、もうどうしょうもない気がする。
今、新潟市に明るい展望を抱いている人はどれくらいいるだろうか?私を含め、なんとなく閉塞感を感じている人は少なくないのではないだろうか。
近年、町おこしや地域おこし、農村の集落支援などが活発になっている。今でこそ地方都市が何とか生き残っているからどうにかなっているが、地方都市が沈むようであればその周辺に位置する農村地域は目も当てられない状況になると予想できる。
逆に都市が活性化すると、周辺の農村地域は都市から零れ落ちる恩恵を受けることができると思う。
今、必要なのは農村の末端治療ではなく、地方都市をどうにかするという根本治療なのではないだろうか。
つまり、地方都市の内需拡大と取引先の拡大が重要だ。
繰り返しになるが、新潟市規模の地方都市がこれをできなければ日本の生き残る道は東京一極集中のままとなり、未来は暗いように思う。
新潟市に課せられた使命は重い。
ちなみに新潟県第二の都市、長岡市は人口282,719人。 これは、北海道函館市279,110 人、茨城県水戸市268,818人 と同規模。他にも青森県青森市や岩手県盛岡市などもこのカテゴリーに入る。
長岡市レベルの都市が自生し、盛り上がるようであると、日本の未来はかなり面白くなると思う。国際競争力にも期待が持てる。
ライター 唐澤 頼充