新潟古町復興はイベントでは成し得ない ~「行く」から「住む」への視座を~

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1028日に新潟市中央区古町の活性化を検討する「新潟古町活性化シンポジウム2」が新潟国際情報大学新潟中央キャンパスで開催される。ぜひ参加したいイベントであったが、当日はどうしても都合がつきそうもなく、参加は見合わせることになりそうだ。


新潟古町活性化シンポジウム:http://www.niigata-furumachi.jp/2013/5100/

新潟古町は、新潟県下最大の繁華街であり、かつては日本有数の遊郭があり、江戸時代に新潟港へ北前船が寄港するなど発展した新潟の中心地だ。しかし、近年のモータリゼーションの影響を受け衰退の一途を辿っている。
とは言え、本州日本海側最大の都市である新潟市の顔として、再びにぎやかな繁華街を呼び戻そうとさまざまな努力が行われている。その姿勢はまるで新潟という地域復興のシンボルとなっているような印象さえ受ける。
新潟古町の活性化を担う中心は、商店街組合。各種助成金も集中的に投下され商業地帯として魅力的な街づくりを行うべく努力している。特に商店街のお祭りである「古町どんどん」、にいがたマンガ・アニメフェスティバル「がたふぇす」、「新潟総踊り」「ジャズストリート」等々積極的なイベント開催を行っている印象は伺える。また、新規出店者を募る助成金も豊富にあり、商業地帯としての復興の姿勢が伝わってくる。
さらには、駐車場の値下げや、バス運賃の優遇など、古町をさらに訪れやすいようにと工夫を重ねている。
しかし果たして商業先行の施策が上手くいくのだろうか?ここに大きな疑問が残る。
現在新潟で勢いのあるロードサイド店。ショッピングモール。パワーセンターなどは、圧倒的な「利便性」の元にある。さらに言えば、インターネットショッピングが一般的になった現在では、「買い物に行く」という行為への付加価値付けは非常に難しいように思う。
古町で行われるイベントは魅力的なものが多数あるが、毎回twitterでは「昔より人が減った」というツイートが目に付く。また、「イベントのときにしか人が来ない」「イベントと商店の売り上げの関係性が薄い」などといった声も多く聞かれる。
多くの自治体が陥りやすい罠ではあるがイベント参加者が固定客になるかどうかは、思った以上にハードルが高い。ゆえに成果が出ず、イベントだけを繰り返し行うイベント中毒になってしまうケースが多数ある。果たして古町にそのような傾向はないだろうか?
商業地が活性化するのは、イベントの集客が多いからではなく、なんでもない日の日常利用客が多いかどうかにかかっている。
その点を見たとき、古町の活性化を目指す人たちの中に、日常利用客を増やすためにどうするかにフォーカスしている人がどれだけいるだろうか?イベントに参加した人が、近隣の利便性の高い店でなく、古町まで足を伸ばすと考えているのだろうか?
私はもっと逆転の発想が必要ではないかと考える。
最近、私たち世代の中でも「最近さぁ、古町に行かなくなったよね」という話がよく出る。
「古町に行く」
この言葉をひっくり返すべきではないだろうか?
それは、「古町に住む」にだ。
古町、広く見れば「新潟島」の居住人口を増やす。
これが、新潟古町を復興する唯一の手段のように思う。
利便性を考えれば人は「近ければいく」。当たり前のことだ。徒歩10分に飲み屋街があればもっと通うだろう。
居住人口さえ多ければ、必死によい店を集めたり、出店の助成金を出さなくとも勝手に店は潤うのではないだろうか。
ではどのような世代を住ませるのか?子育て世帯は広い家でのびのび子供を育てたいだろうから難しい。なので学生から社会人の単身世帯。子育て後のシニア世代。このあたりがターゲットになってくるだろう。
そして問題は家賃。土地代が高い繁華街ではここが一番のネックであり、永遠の課題だ。ただし、仮に古町に住めば家賃補助がでる。もしくは古町でマンション・アパートを運営していれば補助金が出るなど、税金の使い方を工夫することで成せるかもしれない。すぐにできる話ではないが検討の余地はあると思う。
実は、今回10/28の「新潟古町活性化シンポジウム2」では、「東京R不動産」を立ち上げた馬場正尊さんが第二部でセミナーを行う。題目はタウンマネジメントであるが、ぜひ「住まい」「古町に住む」といった視点でお話を伺ってみたかったのが正直なところである。

ライター 唐澤 頼充

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