「新潟は情報発信がヘタ」は嘘だと思う

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
「新潟はいいものはたくさんあるのに、情報発信が下手でなかなか知られていない」
「奥手な新潟人はPRベタ」
そんな声を聞いたことがある方は多いのではないか?いや、自らその言葉を発したことがある方も少なくないのではないだろうか。
新潟のイメージを聞いたときに、「米」「酒」「雪国」くらいしかキーワードが出てこないという。
だからあまり知られていないと。

一方で新潟人が他県に抱くイメージはどうか?
隣接する県でも山形県、福島県、群馬県、長野県、富山県。果たしてそれぞれの県でどれだけ思い浮かぶイメージがあるのだろう。正直、私はほとんどない。
また、PR上手な都道府県はどこか思い浮かぶところはあるだろうか。沖縄?北海道?京都?彼らが特別PRしているとは思えないし、PR上手だとも思わない。
すべての都道府県を思い浮かべたときに、そもそも「米」「酒」「雪国」というイメージを持ってもらえることの方がすごいと感じる。
そんなものだと思う。
PR上手なんてところはそうそうない。
情報発信が下手なことを言い訳にして、また行政や大企業のせいにしていたところで何も変わらない。
ところで、県のイメージなどに関わらず、実は多くの人が新潟に来ていることをご存知だろうか?
私はちょっとした事情でホテル業と関わりがあり、多様な人が新潟に来ていることを知った。
1013日に開催された「新潟シティマラソン」。ブームになっているそうだが、私はマラソンにはまったく興味がないのでその実情は知らない。しかし、今年は県内外から過去最多の11,924名が参加したそうだ。新潟市内のホテルはほぼ全館満室。通常の4倍近い室料でもホテルが埋まってしまうほどだった。
他にも連休等関係なくホテルが満室になることがある。「国体などの競技大会」「医療者などの学会」「人気アーティストのライブ」などだ。
また、日本海側最大の同人即売会「ガタケット」では、オタクやコスプレイヤーが全国から集まる。
Jリーグのサポーターが自分のひいきのチームを応援しに全国からやってくる。

これらを理由に新潟を訪れた人々は新潟についてよく知っていたのだろうか?新潟を知って、新潟に魅力を感じてやってきたのだろうか?
もちろんNOだ。
そこにあるコンテンツに興味・関心があって訪れている。
マラソンが好きだから、わざわざ新潟まで来て走ることに興じているのである。
そもそも、マラソンに興味がない私は、他の都市でいつ・どんなマラソン大会が行われているのか知らない。しかし、マラソン好きの人にとって見れば、「新潟は10月にシティマラソンがあるところ」「○○県は○月に大会が・・・」といった視点で各県のイメージを持つのではないだろうか?
思えば私は戦国時代が好きだったので、各県と活躍した武将を思い浮かべることはできる。「茨城県?ああ佐竹義昭のいたとこね」といった具合だ。
このように他県に抱くイメージと言うのは多様であっていい。その結果として多くの人が新潟に訪れている。ガタケットで正午に流れる「宇宙大帝ゴッドシグマ」のテーマに合わせてみんなで手拍子がしたくてわざわざ新潟に来る人もいるのだ。
それこそ「米どころ」「酒どころ」というイメージはメディア主導で積極的にPRし成功した結果ではないか。PRが成功したではないか。
だから新潟県民は決して情報発信がヘタとは思わない。
成功した結果が今なのだ。
これ以上はPRでよくならないと考える。
もし、新潟を訪れる人をもっと増やしたいならば、大々的な県のPRをするよりも、コアな活動をする人を応援するほうがいい。だから、新潟県民は新潟県の魅力をがんばってPRすることを考えるのではなく、自分の興味ある分野の活動をどんどんとやって、イベント化し、新潟で行われるコンテンツの種類をどんどんと増やしていくことを考えようではないか。
今では新潟の魅力的なコンテンツのひとつとなった「新潟総おどり」は一人の男が決意して取り組んだコンテンツだ。そのようなコンテンツをたくさん作っていくことがきっと街の魅力につながっていくと信じている。

ライター 唐澤 頼充

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。