都市コミュニティ(新潟古町のメイドバーの事例)

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「田舎に比べ都会は人のつながりがない」と言われる。

都会には人がたくさんいるのにコミュニティがないと感じる人が多く、その不満が田舎暮らしのあこがれの一つになっていると思う。

しかし、高校生までをド田舎で過ごし、大学生から日本海側の県庁所在地の都市(?)で過ごした僕からすると、都市の方が人とつながれる可能性が高いと感じる。

もちろん人とつながれる可能性が高いからこそ、仕事が生まれ、人が集まり、東京一極集中というものが起こっているのだが・・・。
仕事だけでなく、ゆるいつながりのコミュニティが都市にはたくさん隠れている。

ご存知の方も多いかもしれないが、私は漫画・アニメが好きである。
一般人よりは多少詳しい程度で、オタクを名乗るのは心苦しいが、深夜アニメなども愛好している。

そんな僕の周りには、そんなにオタクっぽい友達がいない。
「くそっ新潟はオタクの土地ではなかったのか!?」
「新潟人なら初代ガンダムのTV版くらい全部見ろよ!」
と悪態を付きたくなってしまうほどだ。

そんな僕が癒しの場を見つけた。
それは、新潟市中央区古町通り8番町にある「新潟メイドバー SLIME BE」だ。
http://slimebe.blog54.fc2.com/

バーなので営業時間は基本的に夜20時から。
そのため、メイド喫茶とはちょっと違う。
キャバクラとも違って、メイドさんは飲まないし、席につかない。

狭い店内。
カウンターとボックス席3つくらいの店内に、メイドさんが2~4名。
アニメグッズやポスターが所狭しと並んでいる。

もちろんかわいいメイドさん目当て行くわけだが、この店の楽しさは何よりも「トーク」だ。
メイドさんとの「トーク」だけではない。
バーだからカウンターに同席したお客さんどうしでもしゃべるのだ。

きっかけの言葉はこう。
「今期何見てますか?」
深夜アニメはドラマと同じように3ヶ月を1クールとして、年4回新作アニメが始まるタイミングがある。
とても全てのアニメは追えないくらいたくさんのアニメが毎クール放送されるのだ。

「メイドバーに来る=漫画・アニメ好き」
ということで、いきなりそんな話が始まるのだ。
客同士の会話にメイドさんが乗ってきて、上手に話題を広げてくれる。

ここでは自分の興味のない話題に無理やり愛想笑いをする必要もない。
好きなものをきっかけに話ができる。
スライムビーは漫画・アニメ好きにはなんとも楽しい空気なのだ。

そして、ここで知り合った人同士で、個人的に遊びに行ったり、連絡先を交換したり、まさにコミュニティの生まれる場となっているのだ。

最近3ヶ月くらい行けていないのでそろそろ遊びに行きたい。
ちなみにスライムビーという珍しい名前の意味をメイドさんに聞いたら誰ひとり知らなかった。
メイド長ですら知らなかった。
どうなってんだよ。
そしてもっとちゃんとシフト表を更新しろ!笑

さて、話を人とのつながりに戻そう。
この特定のものが好きな人同士のつながりは、田舎よりも都会の方が起こりやすい。
なぜなら、田舎でメイドバーのような強い嗜好性をもつ産業は成立しないからだ。

趣味嗜好の多様性は沢山の人がいる都市でこそ起こりやす。
漫画・アニメだけではない。
カメラだって、韓国ドラマだって、スポーツだって、クラブミュージックだって人間が多い方が特定の嗜好を好む人たちの数が集まりやすいのだ。

高校までの学生時代を思い出して欲しい。
クラスという何の意図もない集団に投げ込まれ、付き合いで自分の好きでもない話題を話したり、行動を共にした経験はないだろうか?
部活仲間の方がクラスメイトよりも絆を深く感じるのは、趣味嗜好が近い人間同士だからだと思う。

大人になった私たちも、なんの共通点もない人たちとのつながりよりも、趣味嗜好の合う人どうしのつながりの方が居心地がいいはずだ。

血縁や地縁といったコミュニティはどこか息ぐるしい。
一方、居心地のいい空間は、きっと田舎より都市の方がみつかりやすいはずである。

ライター 唐澤頼充

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