日本人の西洋人と異なる価値観「無限概念」に関する猪子寿之氏の発言をまとめてみた

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ウルトラテクノロジスト集団チームラボの代表を務める猪子寿之氏のYoutube動画をいろいろと見ていたら面白い動画を見つけたので内容を書き出してみました。
トーキョーニッチというイベントで語った未来の価値観についてのひとコマです。

動画で見たい方はこちら

「インターネットの出現によって人間の価値観が有限概念から無限概念に近づいて行く」と猪子氏は語っています。
かつて一世を風靡した「限定モデル」などのありがたみというのは昔に比べると薄れている、と感じている人は多いのではないでしょうか?
それは無限にデータを複製できるデジタルデータが生活の隅々まで行き渡ってきた現在、有限なものが価値があるという考えから、「無限」が当たり前だという世界に近づいているからだそうです。
そして今後は特にネットの中では「無限概念」が当たり前になってくる。
その中で活躍できるのは日本人なのではないかという意味の発言を猪子氏はしています。

有限概念で成り立つ西洋が作った現在の世界

そもそも資本主義モデルや高度な金融モデルは有限概念によって作られました。それは、西洋的思想だそうです。
産業モデルを作ったのは西洋なのでそうなのかもしれません。
そして今の世の中は、基本的には有限概念の下で動いています。需要と供給によって価格が決まるというのがその典型です。
しかしインターネットの出現で「有限」に違和感を感じる人が増えてきているというのが猪子氏の意見です。
その中で、有限概念と対立する無限概念という考え方を昔の日本人はずっと持っていたという議論が動画ではされています。

日本はもともと有限概念が希薄であった

日本人にはもともと有限概念が希薄だったそうです。
それは、日本の森林率が高いことがひとつの証明になるそうです。
都市を作つためには木材燃料が欠かせません。そのため、文明が発展した地域ではすべからく森林伐採が進み、森林率が極端に低下していきました。ヨーロッパはかつては森林がたくさんありましたが、文明の発達とともに森林率は下がり現在でも非常に低くなっています。イギリスに至っては森林率は8%だそうです。

一方で、日本は現在でも森林率が70%もあります。もちろん地理・地形的な要因もあるのですが、そこには日本人特有の無限概念が働いているというのが猪子氏の意見です。
「日本人は森林は無限だと思った。だから植えれば生えてくると発想した。」
日本人は世界は無限だと思っていたから植林文化が生まれ発達した、そうです。

アートで見る西洋の有限概念と日本の無限概念

さらに、アートの世界でも違いが見えるそうです。
アートは有限が故に、西洋ではあるアーティストの人気が出ると価格が爆発的に上がっていました。

一方で日本は、葛飾北斎などの絵師の人気が出ると・・・刷れ~!!と量産する方向に向かっていったそうです(笑)
西洋では有限がゆえに価格が上がる方向に進む一方で、日本では13版も刷る!など無限に生産する方向に進み、さらには品質も下がって価格も下がっていったそうです。

また、日本で有名な絵師の集団「狩野派」は弟子が100人!
同じクオリティの絵を描ける人材を量産していった点も、日本人の無限概念的な価値観があるのではないかということです。

有限概念と無限概念のインセンティブの違い

そもそも有限概念と無限概念とではインセンティブの働き方が異なるそうです。
例に挙げていたのは同じくアート。
西洋的有限概念の場合、アートで儲けようと思ったら、借金をして今人気のアーティストの絵を購入し、殺し屋を雇ってそのアーティストを殺すと、購入した絵の価格が跳ね上がるというものです。そのアーティストが死んだことで「有限」が確定するため、価値が上がるそうです。
つまりは、殺す方にインセンティブが働くとのこと。
一方で日本的な無限概念の場合、加納永徳爺ちゃんが生きれば生きるほど弟子が増える!そうすれば生産量が増える分儲かる!少しでも長生きしててくれ!と、生きる方にインセンティブが働くそうです。

また、恋でもインセンティブの働き方が異なります。
有限概念の場合は恋敵をやっつける方にインセンティブが働きます。
しかし、無限概念の場合、「むしろ一緒にしようよ!」「自分の耐久力よりも長くエロい姿を見れる(笑)」と一緒に楽しむ方向にインセンティブが働きます。
つまり、無限概念は総量を増やして楽しむ方向に向かうそうです。

このインセンティブの働き方の変化はこれからのネット事業のあり方を大きく変えていくのではないかという予感がしました。そしてその中で、日本人がかつて持っていた価値観というものが非常に神話性が高いように感じます。

ネット上のクリエイティブは無限概念で拡大していく

インターネット上のコンテンツは、ほぼ無限にコピーできるデジタルデータです。デザインもアプリも無限に展開できます。
そのような社会に対して、日本人のかつての無限概念というものがかなり武器になるのではないか・・・と語る前に動画が終わってしまっているのですが、想像でそういうことが言いたかったのかな?と思います。

なんにしろ、この日本人論というのが面白かったのと、ネット社会のクリエイティブの方向性のイメージということでとても面白い動画でしたので、テキストにまとめてみました。猪子氏の日本人を語るときの話はとても面白いので、また別のものを紹介してみたいと思います。

動画を見たい方はコチラ!

ライター 唐澤 頼充

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