アフィリエイト社会に関する考察

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インターネットの普及とともに、広告のビジネスモデルは大きな変化を起こしました。
特に、「成果報酬型」「成功報酬型」と言われる広告モデルは、インターネットの計測可能性が広く可能にしてきました。

さて、その中でも面白いモデルが、「アフィリエイト型広告」と呼ばれるものです。
そしてこのアフィリエイト広告の仕組みがリアルの小売業でも成立するようになるのではないか?というのが私の考えです。

誰もが広告塔となれる時代

アフィリエイト広告はざっくりと説明すると、WEBサイトやメールマガジンに設置された広告によって閲覧者が広告主の商品やサービス等を購入したりすると、リンク元サイトやメールマガジンの主催者に報酬が支払われるという仕組みです。
これによりブログや個人ホームページでも広告を張り付ければ、広告収入が得られる可能性が膨らみました。
さらにソーシャルメディアの発達により、例えば本の感想とともにAmazonのアフィリエイトリンクを貼っておけば、誰かが購入してくれた際にわずかながらも広告収入を得ることができます。
このアフィリエイトプログラムの良いところは、広告主にとっても広告掲載者にとってもノーリスクであるという点です。
広告主のリスクは広告費に見合う収益が上げられないかもしれないという点。
掲載者のリスクは広告の反応が悪かった際に、広告主からの印象が悪くなったりする点です。
しかし、成果報酬という仕組みが現実になったことで非常に小さい枠の広告が成立するようになったのです。

ネット上でノーリスクで商売が始められるようになった

さらに、このアフィリエイトプログラムを活用したドロップシッピングなるものが登場しました。
これはオンラインショップの運営方法の一形態で、注文が入った時点で商品をメーカーや卸売業者から購入者に直送させる運営形態です。
利益は注文が入った段階で確定するため、在庫を持たずにネット上にお店を開けるようになったのです。
ドロップシッピングは一時期、ちょっとした問題にも上がりましたが、小売店のになっていた販売以外の発注や仕入れ、在庫管理といったことが必要なくなるという画期的な仕組みだというのが私の印象です。

ネットワークビジネスのビジネスモデル

さて、少し話は変わり、世の中にはネットワークビジネスというものが存在します。
マルチ商法などと言われ、嫌われている感がありますが、ビジネスモデルだけ見ると非常に面白い仕組みになっています。
ネットワークビジネスのモデルは広告費を使わずにクチコミで販路を拡大するというものです。
「広告費の費用を商品の品質に回し、良い商品をより安く」をモットーとしています。
そしてクチコミで販路を広げるため、購入者を紹介した人には対価が得られます。
また、その紹介者のさらに紹介した人が・・・と詳しくは説明しませんが仲間を増やせば増やした分だけ報酬が増えていくという仕掛けになっており、それがインセンティブとなり販路が広がっていく一方で、トラブルの元になっていたりもします。
しかしこの消費者が自ら広告の役割と小売の役割を果たして増殖していくビジネスモデルは非常にウマイ仕組みだと思います。

リアル世界でのアフィリエイトモデル

さて、このネットワークビジネスとは基本的には「売ってくれたら報酬を払います」というモデルです。
これはインターネットが可能にしたアフィリエイトプログラムと非常に似たモデルのように感じます。
ただし、ネットワークビジネスが会員として所属する会社の商品が取り扱えないのに対して、アフィリエイトモデルはいくつもの商品やサービスを取り扱うことができます。
SONYやパナソニックの商品でも成功報酬的に売れるのがアフィリエイトモデルと言えます。
これまで大企業がネットワーク系のビジネスモデルを取れなかった、もしくは取らなかったのは基本的に計測する仕組みがなかったからではないかと思います。
しかしアフィリエイトプログラムが確立した今、リアルの世界でもアフィリエイトモデルが成立するのではないでしょうか?
つまり、商品や在庫を抱えることなく誰もが小売業を行える社会、アフィリエイト社会がやってくるのではないかと考えます。

個人経営の小売店の復活

かつて個人小売店が廃れ、大型店舗が栄えた背景には「大量の品揃えと低価格」があります。
例え人間関係ができている親しい間柄のお店でも、どうしても選べる商品が少ないから、価格が高いからという理由で足が遠ざかっている方も多いのではないでしょうか?
それは、仕入れリスクと在庫リスクを小売店が抱えていたからです。
しかし、例えばAmazonのアフィリエイトの仕組みがリアルに解放されれば、個人小売店は仕入れリスクと在庫リスクから解放されることになります。
そうなると、見本品だけ触ってもらってあとは無限の在庫の中から商品をクリック!するだけで自分にはノーリスクで収入が得られるとともに、商品は消費者の手元に次の日には届くことになります。
こうなると、小売業は「何を買うか?」から「誰から買うか?」に大きくシフトします。
「誰から買うか?」ということは昔から言われていることではありましたが、アフィリエイト社会になるとまさに100%の意思決定が誰から買うかになります。

アフィリエイト社会で個人ブランド競争社会へ

そうなると、人として「人気があるかどうか?」が、お金を稼げるかどうかの基準になりえます。
日用品・必需品、例えば食品や消耗品にもアフィリエイトモデルが導入されると、必ず消費するものを「せっかくだから○○さんから購入しよう」という思考が働くはずです。
どれだけ多くの人とどれだけ親密な関係を築くことができるのか?といったコミュニケーション能力が小売収入に大きく影響するようになるのではないでしょうか?
アフィリエイト社会というものが到来することで、小売の形を大きく変えるとともに、小売業における資本の力が目に見えて弱まるのではないかと予想します。
ますます個人個人のブランドが社会へ影響を与える時代がやってくるとともに、これぞ評価経済社会なのだろうか?とアフィリエイト社会という言葉を思いついてから強く感じました。

ライター 唐澤 頼充

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