岡田斗司夫さんと古市憲寿さんの対談「道徳の時間」というyoutubeのダイジェスト動画を見ました。
岡田斗司夫さんは最近【道徳】というものが今後、日本に必要なのではないかとよく言っていて、それに関する活動を始めているようです。
その活動の一つとして知識人との対談を行っています。
道徳とは
「人間が無意識の内に世の中に存在するものと認識している正邪・善悪の規範。個人の価値観に依存するが、多くの場合は個々人の道徳観に共通性や一致が見られる。」
(wikipediaより)
という意味だそうです。
そういえば私も道徳の授業というものを学生時代に受けたことがありますが、実際に授業の内容というものは全く記憶にありません。
そもそも何を教えるのか未だによくわからないので、どのような教育が適しているのかというのはよくわかりません。
ただ、このダイジェスト動画を見て思うことがあったのでまとめておきたいと思います。
道徳とは「日本人らしさ」を身につけるために必要
道徳の意味に含まれる「正邪・善悪の規範」という物は、極端に言えば個人個人異なります。
その共通点が集まって地域性や国民性を作っているように思います。
例えば、欧米文化圏ではYes・Noをはっきりさせるのが善であるというイメージがありますが、日本では奥ゆかしさや曖昧さが美徳であるというイメージです。
このように何を良しとし何を悪とするかという共通認識はその民族や文化を形成するうえでかなり重要になっていると思います。
私たち日本人の、「謙虚であれ」であったり、「郷に入っては郷に従え」という価値観は、私たちが善悪観念を共有しているからこそ成り立つことのように思います。
近年のグローバル化の流れの中で、どうやって自国のアイデンティティを保つのか?というのは、この日本人のあいだに共有する道徳観というものが必須のように感じます。
道徳観が共有している部分が多ければ多いほど「日本人らしい」と言えるのではないでしょうか。
共通道徳を作るには
動画の中で、道徳の授業とは物語のようなものを読み聞きするという内容だったとお話がありました。
昭和初期は楠木正成など歴史上の人物のストーリで学んでいたそうです。
昭和中期はストーリーもののビデオを。平成の初期も同様にビデオを見る授業だったそうです。
つまり、私たちはストーリーや物語の中から道徳を「感じる」もののようです。
動画の中で出てきた面白い視点のひとつに
「ストーリーで学ぶならONE PEACE(有名漫画)でいいんじゃない?」というものがありました。
これはかなり納得です。
「オタクの人は保守的な人が多い。勧善懲悪の物語をマンガやアニメで嫌というほど見続けているから」
といった話もあり、なるほど~と納得。
週刊少年ジャンプの有名なスローガンに【努力・友情・勝利】というものがあります。
つまりそのスローガンを物語を通じて感じ取って欲しいというのです。
これはかなり衝撃で、もっとみんながマンガやアニメなどの物語を見ると共通道徳というのが出来上がっていくのではないかと感じました。
確かに私たち世代は、ドラゴンボールやスラムダンクなどのヒットマンガに触れた世代なのですが、作品から学び取ったある種の共通認識であったり共有概念があるように感じます。
ということで、道徳的な概念を盛り込んだ漫画でもアニメでも映画でも小説でもなんでもみんながもっと消費するようになれば日本人らしさ=共通道徳というものが形成されていくのではないかと感じます。
グローバル化の中で自国のアイデンティティを維持するには
グローバル化と聞くと、企業だけのもののように感じますが、現在様々なものがグローバル化しています。
「食料」や「工業製品」などはもちろん、英語などの公用語となり得る「言葉」、ドルなどの「お金」、二重国籍などの「国籍」、「文化」、さらにはEUのように「政治」までもグローバル化しています。
このような中、「日本に住まなくてもいい」といった人たちも増えています。
お金持ちの人たちは税金の高い日本から脱出するなんてことも言われています。
そのような中で、「日本人である」というアイデンティティを維持するために必要となるのがこの共通道徳のような気がしています。
日本人なのだから○○という善悪のモノサシを共有していることというのが日本人であるという最後の拠り所になるのではないでしょうか。
それは人種や民族、国籍にもよらないということです。
日本的な共通道徳を持ち、それを愛する人が日本の文化を守る【日本人】なのだという認識です。
日本民族であっても共通道徳を愛さない人は、ちょっと違うところの人と見てもいいのかなと。
今後、世界政府なんてものが出てきた時に日本人とは何かを問われた時に、「日本的な共通道徳を持っている人」というのは結構いい線じゃないかと考えています。
だから、もっとオタクが増える世の中になれば素敵だと思います。
ライター 唐澤頼充