農業の高付加価値化に関する考察【ビジネス考察シリーズ2】

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こんばんは、からさわです。

先日といっても約1か月前になるのですが新潟の野菜ソムリエ山岸さん(@irodorieye)とtwitterで話をしていて、「農業の高付加価値化」、「直売所で美味しい野菜を高値で買ってもらうには」というお題をいただきました。
あれから記事を書き始めたり、考えたりしていたのですが、なかなか難しいお題で苦戦中です。

今回はゼロベース思考を使って考えてみたのですが、驚きの気づきを得ました。

ほんとは順調だった日本の農業

平成22年度の我が国の食料自給率は、カロリーベースで39%、生産額ベースでは69%です。
先進国と比べると、アメリカ124%、フランス111%、ドイツ80%、イギリス65%となっており、我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています。
と、農林水産省のホームページに書いてありました。
日本の食料自給率がやばい!と言いたくなりますが、注意してほしいのは他国と比べているのはカロリーベースであるという点です。
そう、生産額ベースで見てみるとずいぶん印象が変わるのです。
70%も自給してたら問題ないのでは?
しかも、農業の国内生産額は、日本はアメリカの1580億ドルに次ぐ793億ドルだそうです。
この金額はなんと世界第2位!
EU諸国はもとより、ロシアやオーストラリアの3倍超だそうですよ。
うひょー日本の農業は問題ないじゃないか!ということに気づきました。

日本の農業の問題は何か?

では、現代の農業の問題は何か?ということを考えると、担い手不足と高齢化です。
世界の食糧危機に対応できない!という話はよく聞きますが、生産額ベースで見れば生産調整をしているのにもかかわらず70%近くあるのであれば、稼働率を100%近くにすれば特に問題はないでしょう。
生産コストが高いので価格が上がってしまうのであれば、これまでほぼ手つかずだった大規模化や産業化を進めることができれば結構コストを圧縮できると思います。

日本農業の再生は簡単

じゃあどうすれば日本の農業がうまくいくのか?と考えてみたところ、農家を大規模組織化すれば終わりという結論になりました。
組織化することで跡継ぎ問題も、技術の継承も解消します。
機械も人もこれまでよりも少なくて済むので人件費もかなり圧縮できると予想できます。
そして重要なのが生産調整です。
作れば作った分だけ売れるというのはもちろん買い手市場の21世紀にはありえません。
工場ももちろん稼働率100%でなんてやっていないと思いますので、農業にもそれが必要になります。
スーパーや農協としっかりと連携を取り、どれくらい作れば一番儲かるのか生産計画をしっかりと立てることで需給コントロールができるはずです。
加えて販路開拓も行なっていきたいところ。
これはもちろん海外に向けてです。
だって70%も自給率あるのだから国内で売上を伸ばそうというのがもうナンセンスですよね。
このへんは組織化すれば交渉力がつきますし、商社や貿易会社ががんばってくれればいいと思います。
生産調整もしているので余ったリソースを商品開発やマーケティングに使うことも可能です。
おお、なにやらバラ色の未来が見える気がするのは私だけでしょうか?
ああ、でも原発事故で海外の評価はガタ落ちか・・・

高付加価値化は必要?

ここでようやくお題の高付加価値化について考えますが、ここまで来ると「え?高付加価値化って必要かな?」という疑問が湧いてきます。
むしろ私が必要なのは、低コスト化のような気がしてきました。
食料は生きていく上で欠かせないものですので、それが高くなるのはよくないと思います。
しかもいまは交渉がどうなっているのかよくわからないTPPによって、安い農産物が入ってくる可能性があるのでそれに対抗しなければいけません。
(TPPについては私は大反対です。)
となると現在の自給率や生産額を守るためにも海外産と堂々と戦える価格帯を維持しなくてはなりません。
しかも安くて品質が高ければ輸出にも有利なわけです。

もし、高付加価値化するのであれば農産物そのものではなく、サービスや農業体験・教育産業などで農家が新しい商品やサービスを開発・提供していくことでしかないでしょう。
ただしこれも前述の組織化によってリソースが余るので取り組む余地は十分にあるような気がします。

ということで、
農産物は高付加価値化するよりも低コスト化しよう。
農家は多角的な事業をしよう。
ということを結論としたいと思います。

日本農業のこれから1

実は今年はじめのブログで、私は「農業は機械化し農業工場をすべきだ!!」と書きました。
その時は自給率がやばい!と思っていたのでそのような意見になったのですが、今回のエントリーを書くにあたっていろいろ調べて考えがすこし変わりました。
だって自給率が大丈夫なのであれば増産など考えず、生産コスト削減だけ考えれば良いからです。
そのためには効率化を重視していけば良いので、機械化は進める必要があります。
プラスアルファで有機栽培やらなにやらをちょこちょこやって、ベースとなる大規模生産した農産物と、手間をかけた高級農産物と商品ラインナップを変えて展開していけば強い農業を実現できるように感じます。
なので、日本の農業は、「いかに組織経営と効率経営を身につけるのか」といったローコストオペレーションが最大のテーマになると思います。

それに向けての生涯は利権、既得権益でしょう。
JAや農地法、兼業農家などいろいろ難しいドロドロした問題が山積みです。
ただし、あるべき論を考えるゼロベース思考で現場や現状を無視して私が考えたところ、こんな考察になりましたので、障害となる既得権益をもった方々はさっさと退場するべきだと思います。
解決方法は誰か考えてください。

日本農業のこれから2

もし、大規模農家が生産活動を行うようになれば結構面白い未来が待っているのではとワクワクしてきました。
そうなるといろいろな手が打てそうです。
1.給料の一部を生産物を現物支給し人件費を削減
2.会社の取引の一部も生産物との物々交換とし経費を削減
3.農産物直売所は法人のプレゼンテーションの場として活用
4.直売所を窓口に複数サービスの提案。(イベント、ツアー、体験、学習、料理など)
5.直売所には超低価格商品から超高級商品まで充実のラインナップ
6.食品メーカーとのコラボレーション
7.食品メーカーとの契約栽培
8.農村ライフスタイルのプロデュース
などなど
何か打手がいろいろと浮かんできます。

ということで、農業については個別農家が多い現状で打手を考えると行き詰まりますが、構造を変えれば結構前向きになれるような気がしました。

ただ文章ではうまく表現しきれなかったので、このエントリーを読んで「よくわからん!」「異議あり!」という方は直接おはなししましょう。

からさわ

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