本屋の衰退とこれから 【ビジネス考察シリーズ①】

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こんばんは。からさわです。

街の本屋さんがものすごい勢いで減っています。新宿のジュンク堂が閉店をするなど寂しい話をよく聞くようになってきました。

ネットの衝撃

要因は皆さまご存知の通り、アマゾンが登場したからです。
本屋はネット時代の影響を一番受けた業界といえます。
商品棚と時間という物理的制約を超越することができることがネットの最大のメリットです。
本という中身がどれを選んでも変わらない、かつそれなりに価格の低い書籍は、商品数と営業時間が無限となり、かつ他の人の読んだ感想が見られることなど、書籍の販売はネットとの親和性が非常に高かったため、ネットの影響は計り知れません。
ジュンク堂ほどの規模の大きな本屋さんも、賃料や、人件費、在庫などのコストを考えるとアマゾンに勝てないのです。

それ以外の驚異

本屋の経営を苦しくさせているのはネットだけではありません。
そう、図書館勢力です。
昔は、図書館は専門書や学術書の蔵書が多かったと聞いていますが、今やベストセラー本や雑誌、漫画まで取り扱うようになっています。それが全て無料です。
しかも、好きな本を取り寄せまでできます。さらに、建物もキレイ、空調もいい、ネットも使える。無料です。
これは本屋さんからしたら「税金で何やっているんだ!」と言いたくなるような状況ですよね。
また、最近はコンビニでも雑誌に限らず書籍が増えてきたなど、書籍を購入することができる場所が増えてきたように感じます。
このような要因で、本屋さんは衰退の一途をたどっているわけです。

これから本屋が注目するべき競争ポイント

さて、本屋がもうダメだー!という話ではなく、本屋が生き残るためにどんなことをすればいいのでしょうか?
一言で言えば「ネットにできないこと」で付加価値を付けることです。
ネットにできないキーワードとして今のところ私が考えつくのは
 ①会話、対話
  文字や声でない直接顔を合わせてコミュニケーションができる点。
 ②興味がない分野での発見
  ネットは自分で検索をかける分、バイアスがかかりますが、予期せぬものに出会える確率はリアルの方が高い点。
 ③五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)
  視覚、聴覚のみのネットと比較して、感覚器官が多い点。
 ④居場所、コミュニティ機能
  リアルに時間を過ごすことができる点。
 ⑤コンシェルジュ・コンサルティング・メンター的な機能
  その人の生活や未来をより豊かにするために人間としてサポートできる点。
といったものでしょうか。
これらを見ると、「別に本屋じゃなくてもいいじゃないの?」と感じるのではないでしょうか?
そうです、本屋が生き残っていくためには本屋のままではいけないと思うのです。

成功している本屋に学ぶ

競争ポイントを見ると、ジュンク堂をはじめとした大型書店がこれらを生かしているのかというとそうでもなという印象です。
勢いがあるのでは?と思う本屋で特徴的なのは遊べる本屋で有名な「ヴィレッジバンガード」。
本屋の方々は彼らを本屋とは認めないかもしれませんが、雑貨やCDなどを多数取り揃え、本屋の枠から飛び出し、ライフスタイルを提案するような業態をとっています。
ヴィレッジバンガードに訪れる顧客は本を探しにいっているのでしょうか?
何かが見つかるかも、何か面白いから、POPを見るだけで楽しいといった理由が多いように思います。

本屋のこれから

ヴィレッジバンガード以外にも成功している本屋はあると思いますが、ポイントは来店する理由を「本を買いに来る」というもの意外を作り出せるかどうかがキーになってきそうです。
 ・セミナーを開く
 ・食事を提供する
 ・読書会を開く
 ・地域の人とボランティア活動を企画する
 ・アマチュア作家の作品を売る
 ・本選びサポートカウンターを設ける
など、そういった取り組みはいろいろと考えられるのではないでしょうか?
本はどこで誰が買っても内容が変わることがない商品の典型です。
本屋は商品力が武器になることは極めて難しいのですから、必然的に店舗ごとに工夫が必要になってきます。
逆に言えば、上手くいっている本屋さんはそれだけで他のビジネスの参考になる部分も多いと思いますので、注目してみることをおすすめします。

みなさんが今の時代に流行る本屋をつくるとしたらどのような企画を考えますか?

からさわ

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