【アニメ・ビジネス】 もしドラ感想。ビジネスアニメの需要は?

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ゼロ年代後半から勢いを増してきた、ビジネス書ブーム。
個人スキルのアップを必要に感じ読んでいる方が増えた背景があると言われている中、2011年冬アニメで、ベストセラー書籍の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、通称もしドラ をNHKがアニメ化、放送しました。
一挙放送だったので、内容を忘れないうちに見れたのは良かったです。


はたして、ビジネス書ブームのニーズはアニメ映像作品として定着できるのか?
アニメ、もしドラを期待半分、疑問半分で見た感想は・・・ターゲットは誰だったの?というのが一番強かった。


■アニメ作品として
近年のヒットアニメの傾向としては、①キャラ、②日常系orセカイ系、③悲劇、④癒し、⑤リアリティ、⑥恋愛、⑦ギャグなどのキーワードが存在していると思う。
そのなかで、もしドラは、キャラは立っておらず、リアリティに乏しく、癒し、恋愛があるようなアニメではなかった。
アニメ作品としての特徴を箇条書きで挙げてみた。
 ・キャラクターデザインは中途半端(書籍のパッケージの方がキャラが立っていた)
 ・リアリティはない。(野球部の人が見たら怒りそう)
 ・日常系の青春モノ。(深夜アニメではあまり例がない?)
 ・準ヒロインの死という山場あり。魅せ方も上手かった。(さすがNHK!)
 ・恋愛要素はゼロ。
 ・スポ根
 ・テンポよし
 ・萌えない。燃えない。
というわけで、アニメとしての見せ場は登場人物の感情が一番揺れた準ヒロインの死の場面で、それ以外は並のない、ダイジェストを見ているような印象を受けるつくりであった。
青春、全力、成長と言う意味では近年の夜アニメにはない作品には仕上がったが中途半端であった。
結論として、アニメ視聴層がターゲットではない作品だと思う。


■ビジネスとアニメの融合作品として
題材はドラッカーの『マネジメント』。扱われた理論で印象に残っているものを箇条書きにしてみた。
 ・マネジメント
 ・マーケティング
 ・イノベーション
 ・人材活用
 ・社会貢献
 ・成果
これくらいかな。知識としてはビジネスマンにとっては当たり前。新しい知識が入ってくるわけではないし、理論の深堀もしていないのでビジネスマンにとってはやはり中途半端な印象。
学生や、アニメ視聴層にとって魅力的に説明されていたかと言うと・・・そうでもないと思われる。入門アニメとしても中途半端の域を出ないのではないか・・・


■もしドラのメッセージは何だったのか?
コンセプトは「アニメでわかるドラッカー」だったと思うが、このアニメの成果を①ビジネス書市場の拡大、②アニメ視聴層の拡大と考えた場合、その二つが達成されるのかどうかは正直難しいと思う。
個人的にこの作品で一番気づかされたことは「行動をする」というメッセージであった。
ビジネス書ブームの中、知識を仕入れて安心感を得ている人が多い。そんな中、野球部という一見ビジネス知識が活用できない状況の中で、工夫をし実践していくという取組みを表現している点は情報社会へのアンチテーゼであると評価できる。
優秀な人の定義は「知識アリ・行動力アリ」>「知識ナシ・行動力アリ」>「知識アリ・行動力ナシ」>「知識ナシ・行動力ナシ」であると思う。そういう意味では、<行動力>の重要性は強烈にメッセージングされていたような気がする。


■ビジネスとアニメの親和性は如何に?
アニメもしドラは非常に面白い試みだったと思うが、誰に見てもらいたいのかターゲティングが不十分だった所為で、評価は高いものにならないと思う。この作品を見て私がビジネスアニメを制作する場合のポイントを箇条書きで挙げてみた。
 ・ビジネス入門アニメとする
 ・対象は、アニメ視聴者+学生
 ・ビジネス理論は最小限に抑え、テクニック要素を強くする
 ・ストーリー性を重視する
 ・変動するのは人間感情ではなく企業の業績、もしくは個人の営業成績
 ・ビジネスマンは娯楽程度にみる
といった感じだろうか。ビジネスマンがノウハウを蓄積するには、アニメよりセミナーや音声教材の方が今のところ効果が高いだろう。
もしドラは成功とは言えないと思うが、これにめげずビジネスアニメや社会派アニメの制作にどんどんチャレンジしていってほしい。


からさわ
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