先日、長岡市与板地域で新しく立ち上がったNPO法人「考房あったか」さんを訪問してきました。考房あったかさんは、昭和14年生まれの同級生たちが立ち上げたシルバー世代の豊かな経験と力を活用していこうという団体です。
考房あったかの理事2人とのお話しの中で、「ボケないためには“キョウヨウ”と“キョウイク”が大切だ」といったお話になりました。
キョウヨウと言っても「教養」ではなく、「今日、用がある」こと。
そして、キョウイクは「教育」ではなく、「今日、行くところがある」ということ。
これは、『100歳になっても脳を元気に動かす習慣術』などで知られる心理学者の多湖輝(たごあきら)さんの著書にある言葉だそう。お話を伺った二人も「地域のシルバー世代の用事と居場所を作りたいんだ」と熱く語ってくれました。
「今日、用」と「今日、行く」。
なるほど、仕事を引退した人がぽっかりと心に穴が開いて無気力になってしまうというのは用事と居場所がなくなってしまうからかと納得しました。
と同時に、これは年齢を問わず地域づくり全般に言えることではないかとも思いました。
例えば、地域の環境整備や安全管理など、今は多くのことを行政サービスや企業などが担っており、市民がしなくてはいけない「用事」は年々少なくなっているように感じます。特に、地域外から入ってきた人などは、地域のためにしなくてはいけない「用事」を持っていない人が多いのではないでしょうか?さらに地域の人と交流するために「行く所」もなかなかない気がします。
地域づくりの「キョウヨウ」と「キョウイク」は、地域に貢献するため誰かに任せたい「用事」と、集まりたくなる「行く所」をつくることから始まるのかもしれません。
どんな小さなことでも、誰かに何かを手伝ってもらうということはひとつの「協働」です。手伝ってもらうには、ただ「力を貸してください」だけでなく、何を手伝ってほしいのかはっきりさせることが大切です。草取りでも、掃除でも何でも大丈夫。言葉や文章にしてお願いすることで誰かの用事になるのです。そして、「今日どう?」と声をかけ、皆のいる居場所に連れていく。そんな協働の積み重ねが、暮らしやすく豊かな地域を作っていくのではないかなと感じました。
地域の中には「今日どう?」そんな言葉を待っている人が、実はたくさんいるんじゃないでしょうか。