皆さんお盆はどのように過ごされたでしょうか?
今年は、戦後70年ということで、8月15日も例年からさらに厳粛な日になったように感じます。
さて、私は個人的な市民活動として新潟市西蒲区にある古民家「福井旧庄屋佐藤家」で行われている「戦後70年 村に残された戦争の足跡」という展示イベントのお手伝いをしています。
角田山のふもとの福井という小さな集落で、戦時中でもわずか100戸の小さな村でした。そんな片田舎にもかかわらず、実は戦死者が19名も出ていました。今回の戦争展は、こんな田舎でも戦争が日常生活の中に深く入ってきていたのだということを伝えたく地元の有志が企画されました。
8月9日から23日まで開催されている戦争展では、村の人から戦死された方の遺影や、残された遺品や写真を借りて展示しています。戦時中の日用品や、雑誌、手紙や日記などを地域から集めて、展示品は最終的に200点を超えました。
この企画は展示品を集め始める段階から多くのメディアに取り上げられており、会期中も連日新聞やテレビに取り上げられています。
もちろん、戦後70年という時期的なものもあるのですが、ここに集められた展示品の大半が「どこにでもある」ような物でもありました。確かに、戦地からの手紙や、ある農家でずっとつけられていた日記、その村の人たちの遺影などはここにしかないものと言えます。とは言え、例えばゼロ戦だったり、三八式歩兵銃だったりと言った物と比べてしまうとインパクトは劣らざるをえません。おそらく、他の地域でも頑張って地域を回って探し集めれば、集まるものなのかもしれません。
けれども、展示品は特別でないものであっても(もちろん地域の人にとっては特別ですが)、ちゃんと集め、展示することでこれだけ大きな企画となり、メディアにも取り上げられ、地域外からも多くの人が足を運んでくれるのです。
あの時代、日本各地で同じような状況があり、暮らしがありました。しかし、それを記録し、残し、そうして70年後にこうして再現したことが、この企画を特別にしてくれたのではないでしょうか?
実は、今回の展示物の大半は、もともとこの土地で郷土史研究家、写真家として活動されている斉藤文夫さん(82)が昭和40年代後半から、地域の暮らしを記録していこうと、写真を収集したり、村の古道具を保存したりとし続けていたものが使われています。
40年も前から地道に地元の暮らしの記録を集め続けていたからこそ、今回の戦争展が実現したのかもしれません。当時は、村の人からは「物好きだ」とか「変わり者だ」とか言われていたそうですが、それでもやり続けた信念には頭が下がります。それでも斉藤さんは「好きだからやってんだて。楽しみながらやっとるから、大変だとは思わんてー」と軽やかに笑って言います。
斉藤さんは、地域の人たちは特に気にとめてもいなかった時代時代の、「地域にある普通の暮らし」に価値を見出し、記録・保存を続けていました。それが数十年経って貴重な地域資源となっているのです。
どこの地域にもあった普通の暮らし。その土地でずっと営まれてきた生活の歴史。それを振り返って見ることが、思わぬ地域の宝づくりにつながるかもしれません。
たまに、暮らしの足元を見つめなおしてみるのも良いのではないでしょうか?