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フリーランスと体調管理 ~十分な収益は頑丈な身体に宿る~

先週一週間、体調が優れずぐったりとしてしまった。
フリーランスになってから1年半程度経つが、これまでは幸いなことに大きく体調を崩すことはなかった。そんな中、まさかのダウンで仕事がまったく手につかなかった。



昨年も1週間程度身内の不幸で身動きが取れなくなったことがあったが、フリーランスをしているとその間の収入はゼロ。仕事の少ない月はかなりのダメージであるし、予定が詰まっている月だと他の日に大きなしわ寄せが来てしまう。
「体が資本」とはよく言うが、フリーランスとなってから身にしみてそれを実感する。
つながりのあるフリーの方のfacebooktwitterを見ていると、ジムに通ったり、自炊で体に配慮した食事をしたりと自己管理をしっかりとしている人が目に付く。私と言えば外食、中食ばかり。運動も最近はめっきりしていない。残念な私生活を送っていることが、体調を崩す結果につながってしまったのだと反省している。
フリーランスの適正のひとつに「体力」がある。
これは、体調を崩さない強い体であり、仕事のスケジュールがキツイ際に乗り越えられる精神的なスタミナだ。
フリーの人間は下請けとして仕事をすることが多い以上、締切りはクライアントに設定されることが一般的だ。結果、締切りが集中してしまう時期が生まれる。その際にきっちりと仕上げられるか。徹夜を繰り返しても壊れない体と精神力があるかどうか。「体力」のあるなしが、売上に直結しているとも言える。
実際、フリーというと「自由に時間が使えていいね」と思われることも多いが、締切りはクライアントが決めることが大半だ。そうなると、必然的に作業時間は限られてくる。売れっ子のフリーランスならば複数の締切りを抱え、結局仕事漬けの日々を過ごさざるをえない。
逆に仕事時間を比較的自由に配分できるのは、食えないフリーランスくらいだろう。貧乏を受け入れるならば「自由」を手に入れることができる。
そんなこんなで、フリーで家族を養っていくほど稼ぐには、体と精神を酷使する必要がある。
ひ弱な人は(稼ぐ)フリーランスにはあまり向いていない。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」という言葉があるが、フリーランスにとっては「十分な収益は頑丈な身体に宿る」なのだ。

ライター 唐澤頼充

「新世紀メディア論 新聞・雑誌が死ぬ前に」を読みました

先日立ち寄った「一箱古本市in沼垂テラス」で購入した小林弘人氏著の「新世紀メディア論」を読み終わった。
一言で言えば、インターネットの登場で、「メディア」がどう変わっていくかを考察した内容の書籍である。

2009年と、ソーシャルメディアの爆発的普及前に書かれたメディア論であるが、本書の内容が徐々に世間の日の目を見始めてきたのが最近ではないだろうか。
インターネットメディアについて書かれた書籍は、横文字が多く、読んでいても頭に入らないことが多い。本書もその傾向が強い一方で、具体的な事例が多く掲載されているため、なんとが思考を途切れさせず読みきることができた。
もちろんWEB媒体を賛美する内容ではあるのだが、これまでの「出版」を高く評価し、新聞、雑誌、書籍、ウェブを包括して”メディア”の可能性を論じている点に好感が持てた。
ブログ、twitter、tumblr、facebookなど、誰もが情報発信を気楽にできるようになった時代、新しいメディアはどのような編集を行い、どう換金化していくべきなのだろうか。
2013年現在においても、出版社や新聞社の危機が伝えられ、WEBメディアでは採算がとれずに苦労しているという話を聞く。
新時代への移行期真っ只中、何かせねばならないと個人的にも焦っている。
地方都市で、ウェブで、ライティングで、何かができないだろうか。
本書を読み、焦る心にさらにアクセルを押し込まれた気がする。
ライター 唐澤頼充

ハードとしての都市 がたふぇすvol.4開催に寄せて

112日、3日と新潟市の各所で「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」通称「がたふぇす」の第4回目が開催される。
がたふぇすとは、アニメ・マンガの祭典として、新潟市文化政策課が主導となり開催されているイベント。新潟市の古町、万代、白山地区などを中心に、クリエーターや声優のトークショーやアニメ・マンガ作品展、コスプレ撮影会等が開催される。


にいがたアニメ・マンガフェスティバル:http://www.niigata-animemangafes.com/
新潟は、「ドカベン」の水島新司さん、「らんま1/2」の高橋留美子さんなど多くの有名漫画家を輩出した土地である。新潟市は「マンガ・アニメを活用したまちづくり構想」を掲げ、街づくりを進めている。私も数年前にこの都市構想の企画作りにリサーチャーとして関わったことがある。なつかしやなつかしや。
「マンガ・アニメを活用したまちづくり構想」の一環として、今年2013年に古町に「新潟マンガの家」、万代に「マンガ・アニメ情報館」がオープンした。両施設については、設立においても、運営においても賛否両論渦巻いているが、新潟市が同構想を本気で進めているという目に見える成果となった。
新潟市マンガの家:http://house.nmam.jp/
新潟市マンガ・アニメ情報館:http://museum.nmam.jp/

さて、今回で4回目となった「がたふぇす」は、もともと個別に開催されていた「にいがたマンガ大賞」と「コスプレガタケットSpecial」が合併してできたイベントである。来場者数も毎年増加しており、2011年の1回目は23千人、その後は35千人、46千人、今回は5万人の動員を目指す「日本海側最大級」のマンガ・アニメの祭典となる。
イベントへの力の入れようは毎年強まっているようで、今回発表されたタイムスケジュール(記事先頭画像参照)を見ると、すべてカバーするのは物理的に難しいほどの企画が開催される。
ただし、マンガ・アニメというものは、その領域全体に興味があるというよりは、特定の作品やクリエーターに興味を持つため、分散多企画開催の方が多くの消費者の動員を見込めるという考えだろう。
それにしても、さまざまな企画を新潟市の各エリアで分散開催するのが面白い。

オタクカルチャーの総本山というべきイベントは東京ビックサイトで開催される「コミックマーケット」通称「コミケ」だろう。3日間で50万人を軽く上回る人が集まる世界最大規模の同人即売会だ。東京ビックサイトという大きな「箱」があるからこそ開催できるイベントと言っても差し支えない。
一方で、新潟には東京ビックサイトほどの施設もなければ、コミケほどの動員力があるイベントは開催できない。それでも多くの人に参加してもらうように、多くの人の目に触れるようにと特定の会場ではなく、都市そのものを会場と見立ててがたふぇすが開催される。

都市を会場(=ハード)に見立て、ソフトとしてイベントを開催する。こういった取り組みは今注目度が高まっているように思う。
例えば「シティマラソン」はその典型で、都市の道路がそのままコースに転用される。
また、長野県の渋温泉では、人気ゲームのモンスターハンターとタイアップし温泉街全体をゲーム会場とした。(http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/news/collabo_60813.html
これらに共通して言えるのは、都市あるいは街はただの「ハード」であり、集客の要因は「ソフト」である企画・イベントによるという点である。

「人を呼ぶためにはどうしたらいいのか?」という地域の課題に対して「地域の魅力を引き出す」という方法が多く語られる。「何が地域の魅力なんですか?どんなストーリーがありますか?観光名所はなんですか?」これらは街にある資源そのものがソフトであり、集客の肝となる。
しかし、全国津々浦々に京都のような観光資源があるわけではない。

そんな多くの都市や地域、街にとって、
「ハードの特徴は消す。そして、ソフトとしてイベントや企画を実行してくれる人が気持ちよく運営できるような環境を提供する」ことで、他地域との差別化はできないだろうか?
地域に、街に、はたまた自分のお店に「魅力的なコンテンツ」がないのであれば、コンテンツを提供してくれる人が使いやすいと思うような「箱、受け皿」としてハードの整備を進めるのもひとつの打開策なのではないかと思う。 
そのような場合に必要なのは、「集客力」ではなく、イベントや企画の「誘致力」だ。必要な力がまったく違ってくるということは、地域が行うべき活動もまったく異なるはずだ。


新潟市はよく、「観光資源がない、観光客を連れて行くところがない、何にもない」と言われる都市だ。確かに、近隣の長野市の善光寺、金沢市の兼六園のような分かりやすい観光ランドマークが新潟市はない。
であれば、「魅力的なコンテンツ」を「外部から調達」することが、今後新潟が生き残っていく道かもしれない。
ハードとしての都市に新潟市はなれるのかどうか。

これを踏まえて、今週末に開催される「がたふぇすvol.4」は、都市をハードと見立てて、コンテンツを外から取り寄せて開催される大規模イベントの典型であるといえる。
今後の町興しや地域おこしの可能性を探るという視点からイベントをチェックしてみてはいかがだろうか?

ライター 唐澤 頼充

新しいコミュニティ形成の胎動 @10/26新潟サミット参加レポート

10/26(土)黒崎市民会館のホールで第1回「新潟サミット」が開催された。
主催者は1985年生まれの坂爪圭吾さん。同じ28歳、花の(?)85年生まれとして少し前から活動に注目していた。
新潟サミットは、新潟を拠点に活動しているサークルや、部活動、NPO団体、営利団体、コミュニティなどが一同に会し、3分間PRを行うイベント。

以下は主催者のコメント

「新潟にも、こんなに面白い人や活動があったんだ!」という驚きを通じて、団体の枠を超えたひとりひとりの交流が生まれ、新潟が活性化する一助になればと思います。


その言葉通り、24組の個性的なコミュニティが参加し3分間のPRを行った。
発表団体は以下のとおり、興味のある方はリンク先等を参考にして欲しい。

○よんかくの会 坂場孝子さん
読む、書く、考える、共有するの4つ。読書会を主に新潟市内で行っている。
○桃と緑の遊び場 今井彩子さん
白根の桃農家。桃畑でいろんなイベントを開催。子供が自由に遊べるように。ガーデンパーティーや真っ暗な中で桃のフルコースを振舞うイベント、ソーラークッキングなどを開催した。
○新潟イケメンプロジェクト 東区の英会話スクール いちさん
男性のこだわりの心くすぐるイベントを開催。
○ガールズプロム(女子会)駒井沙織さん
プロムとは遊歩するという意味。自由に席を移動したくさんの人と交流していただく大人数のイベントです。ドレスコードなのでおしゃれに楽しめる場。
○こども未来塾 大滝剛さん
こども教育の研究や、親の学習会を行っている。
○新潟アウトプット朝活 渡辺裕一さん
参加者ひとりずつが1分程自由なテーマで発表をする朝活。
○しばた朝活/夜活 福本トニーさん
新発田市で開催されている朝活。
○にいがたe朝活 小田昌栄さん 丸山泰代さん
テーマを決めて語りあう朝活。松崎のスターバックスで8時から。月2回程度。
○新潟×朝活 土屋裕行さん
週末の朝にテーマなしで8名が集まり語り合う朝活。2011年の1月から約3年、100回以上の開催実績。
○みんなの「ほっとステーションin本町」
新潟市中央区本町にあるコミュニティスペース。さまざまな団体が各種活動を行っている。
・美活サークル
・動物占いサークル
・ポールウォーキング
・バジサークル
・新潟鉄道部
○環日本海1,000人アイドルプロジェクト 坂爪圭吾さん
ギネス記録を目指すアイドルプロジェクト。
○グリーンドリンクス新潟内野 加藤大輔さん
全世界で開催されているグリーンドリンクスの新潟版。
○コネクターズ 唐澤頼充
現在準備中のコミュニティ告知用WEBサイト。
○月間農家 尾崎美幸さん
新潟市西区の農家インタビューを掲載するフリーペーパー。
○ここラボ 和田弘和さん
有名人ではなく、一般の個人が講演を行うイベント。
○住み開きのシェア古民家 まったり庵 西村治久さん
新潟市古町に開く予定のシェア古民家。
○ペチャクチャナイト新潟 加納北斗さん
全世界600を超える都市で行われるスーパープレゼンテーションイベント。
○新潟紅茶協会 楠高典さん
新潟で紅茶を楽しみ普及する団体。新潟紅茶マップを作成。
○新潟×福祉コミュニティ ちのよしかずさん 清田健太郎さん
福祉に関わる職の人、興味がある人が集まるコミュニティ。


イベント参加者は申し込み時点で50名以上、当日の飛び入り参加者を含め60名程度は参加していたと思われる。参加者はまったく無関係の人というわけではなく、それぞれのコミュニティとつながりがある方が多かったのではないだろうか。
各コミュニティのプレゼンや全体を通じての印象としては、厳しい言い方をすれば、身内向け、内輪盛り上がりに終始してしまったと思う。
原因のひとつは、私を含めプレゼンテーターが素人であるということもあり、魅力的なプレゼンができなかったという点だろう。また伝えている内容自体も基本的にコミュニティの紹介であるため、知っているコミュニティであれば既知の内容。知らないコミュニティでも「へぇ~」で終わってしまった部分もある。
しかし、これだけ多くのコミュニティが独自の活動をしているということを肌で感じられたのは収穫であった。そして、数十名の参加者を集められたというだけでも、ニーズが多分にあるイベントだったという何よりの証拠だ。坂爪圭吾さんは本当にすごいと思う。同年代ながら大変影響を受けた。

血縁、地縁や地域コミュニティが崩壊しつつある現代において、今回参加したコミュニティのように、趣味や嗜好でつながったコミュニティの存在というのは貴重である。私の追いかけるテーマのひとつでもある「コミュニティの再編成」はこのような動きからなされると考えている。
今回が初めての開催のイベント。クオリティは今後改善を積み重ねていくとして、このようなイベントが新潟の地で開催されたということは非常に重要な胎動だと思う。新潟という地で新たなコミュニティが形成されていくさまを今後とも注視していきたいと思う。

ライター 唐澤 頼充

新潟古町復興はイベントでは成し得ない ~「行く」から「住む」への視座を~

1028日に新潟市中央区古町の活性化を検討する「新潟古町活性化シンポジウム2」が新潟国際情報大学新潟中央キャンパスで開催される。ぜひ参加したいイベントであったが、当日はどうしても都合がつきそうもなく、参加は見合わせることになりそうだ。


新潟古町活性化シンポジウム:http://www.niigata-furumachi.jp/2013/5100/

新潟古町は、新潟県下最大の繁華街であり、かつては日本有数の遊郭があり、江戸時代に新潟港へ北前船が寄港するなど発展した新潟の中心地だ。しかし、近年のモータリゼーションの影響を受け衰退の一途を辿っている。
とは言え、本州日本海側最大の都市である新潟市の顔として、再びにぎやかな繁華街を呼び戻そうとさまざまな努力が行われている。その姿勢はまるで新潟という地域復興のシンボルとなっているような印象さえ受ける。
新潟古町の活性化を担う中心は、商店街組合。各種助成金も集中的に投下され商業地帯として魅力的な街づくりを行うべく努力している。特に商店街のお祭りである「古町どんどん」、にいがたマンガ・アニメフェスティバル「がたふぇす」、「新潟総踊り」「ジャズストリート」等々積極的なイベント開催を行っている印象は伺える。また、新規出店者を募る助成金も豊富にあり、商業地帯としての復興の姿勢が伝わってくる。
さらには、駐車場の値下げや、バス運賃の優遇など、古町をさらに訪れやすいようにと工夫を重ねている。
しかし果たして商業先行の施策が上手くいくのだろうか?ここに大きな疑問が残る。
現在新潟で勢いのあるロードサイド店。ショッピングモール。パワーセンターなどは、圧倒的な「利便性」の元にある。さらに言えば、インターネットショッピングが一般的になった現在では、「買い物に行く」という行為への付加価値付けは非常に難しいように思う。
古町で行われるイベントは魅力的なものが多数あるが、毎回twitterでは「昔より人が減った」というツイートが目に付く。また、「イベントのときにしか人が来ない」「イベントと商店の売り上げの関係性が薄い」などといった声も多く聞かれる。
多くの自治体が陥りやすい罠ではあるがイベント参加者が固定客になるかどうかは、思った以上にハードルが高い。ゆえに成果が出ず、イベントだけを繰り返し行うイベント中毒になってしまうケースが多数ある。果たして古町にそのような傾向はないだろうか?
商業地が活性化するのは、イベントの集客が多いからではなく、なんでもない日の日常利用客が多いかどうかにかかっている。
その点を見たとき、古町の活性化を目指す人たちの中に、日常利用客を増やすためにどうするかにフォーカスしている人がどれだけいるだろうか?イベントに参加した人が、近隣の利便性の高い店でなく、古町まで足を伸ばすと考えているのだろうか?
私はもっと逆転の発想が必要ではないかと考える。
最近、私たち世代の中でも「最近さぁ、古町に行かなくなったよね」という話がよく出る。
「古町に行く」
この言葉をひっくり返すべきではないだろうか?
それは、「古町に住む」にだ。
古町、広く見れば「新潟島」の居住人口を増やす。
これが、新潟古町を復興する唯一の手段のように思う。
利便性を考えれば人は「近ければいく」。当たり前のことだ。徒歩10分に飲み屋街があればもっと通うだろう。
居住人口さえ多ければ、必死によい店を集めたり、出店の助成金を出さなくとも勝手に店は潤うのではないだろうか。
ではどのような世代を住ませるのか?子育て世帯は広い家でのびのび子供を育てたいだろうから難しい。なので学生から社会人の単身世帯。子育て後のシニア世代。このあたりがターゲットになってくるだろう。
そして問題は家賃。土地代が高い繁華街ではここが一番のネックであり、永遠の課題だ。ただし、仮に古町に住めば家賃補助がでる。もしくは古町でマンション・アパートを運営していれば補助金が出るなど、税金の使い方を工夫することで成せるかもしれない。すぐにできる話ではないが検討の余地はあると思う。
実は、今回10/28の「新潟古町活性化シンポジウム2」では、「東京R不動産」を立ち上げた馬場正尊さんが第二部でセミナーを行う。題目はタウンマネジメントであるが、ぜひ「住まい」「古町に住む」といった視点でお話を伺ってみたかったのが正直なところである。

ライター 唐澤 頼充

新潟メイドと地下アイドルと都市の規模

先日はじめて、新潟市にあるメイド喫茶「after school café」、通称「あふすく」にお邪魔した。新潟駅万代口を出て東大通り方面、アニメイト等の店がはいるビル「アニメ・コミック館」の裏手にあるビルの3Fに入居している。



「あふすく」は今年で開業して3年以上が経つという新潟唯一のメイド喫茶だ。
ただし、メイドさんに聞いた設定では「アイドルを目指すアフタースクール学園(?)に通う女の子たちが、放課後にバイト(?)としてメイド喫茶で働いている」となっているとのこと。そのせいか、メイドさんの服装もメイド服よりは、高校の制服に近かった。
料金は1時間500円の席料に加えて最低ワンドリンク頼むこと。メイド喫茶でおなじみ(?)のオムライスなどメニューも豊富。最安値で済ませると1時間1,000円だ。
お店の中は、バーカウンターが教室の机のように並べてあるスクール形式。前方にはステージがあり、一時間に15分程度メイドさんによるステージライブを観ることができる。
それ以外の時間はけっこうメイドさんが話しかけてくれてぶひぶひできる楽しいお店である。
「あふすく」はお店の作りや制服、ライブなど、メイド喫茶というよりは、どちらかというとアイドルに近い印象を受けた。
実際、県外遠征をしてステージに出たりするなど、アイドル活動も行っているそうだ。確かにステージではファンの方が熱いコールを飛ばしていて驚いた。
アイドルといえば新潟には全国に誇る(?)ご当地アイドル「Negicco」がいる。
それ以外にも「RYUTist」、「AngelGeneration」など、ご当地アイドルががんばっている。
特に「AngelGeneration」はその取り組みが面白い。普段は「OHANA」というアイドル養成居酒屋で働いており、日中はレッスンを、夜は居酒屋店員をしつつ毎回ステージを披露しお客さんを喜ばせている。2回ほど「AngelGeneration」が働く居酒屋「OHANA」に行ったことがあるが、ステージでの常連さんのコールはすごかった。草の根から徐々にファンをつくりデビューを目指す仕組みは面白いと思った。



ところでアイドルの話になってしまったが、新潟にメイドはいないのかと思う方もいるかもしれない。これも正統派メイドとはいえないかも知れないが、新潟市古町にメイドさんが接待をするバー「メイドバー SLIME BE(スライムビー)」がある。ここは、こじんまりとした店で、ステージなどもない。バーの名のとおり、お酒を楽しみながらメイドさんとお話を楽しむことができる。常連さんたちとのアニメ・漫画トークは非常に深いものになり楽しい空間だ。スライムビーのメイドさんたちはアイドル活動はしていない。そのためか、「あふすく」や「OHANA」に比べて落ち着いた雰囲気が特徴となっている。
メイドバー SLIME BE:http://slimebe.blog54.fc2.com/

メイド喫茶と言えば聖地アキハバラをはじめ都会にあるイメージが強い。地下アイドルについても都会に生息しているイメージしか沸かないのではないか?
実際に私の知人にメイドやご当地アイドルの話をしてみても「え!?新潟にもそんなのあるんだねぇ」と驚かれる。新潟に住む人の多くの人に興味がないように、世の中の多くの人がメイドやアイドルなどに興味を持っていない。
それでも、新潟という土地で、そのような業態が成立している。
本当はもっと新潟に「萌スポット」があるとうれしいのだが、今は紹介した程度だ。
今でこそメジャーになりつつあるが、メイドや地下アイドルのような「サブカルチャー」が事業として成立するためには、それなりの規模の人口が集中していなくてはならない。その点、大都市と比べると確実にクオリティは劣るものの、新潟にもこのようなサブカルが生きているということは、新潟がそれなりの都市であるという証拠だ。
新潟市の人口は812,192人で東京特別区を除くと全国15 。けっこう大きい市なのだ。
このようなサブカル産業が新潟からなくなったら、新潟に余裕がなくなってきた証拠と見ていいだろう。逆に増えてくるようであれば、新潟の成長が伺える時かもしれない。新潟メイドや地下アイドルは、その都市の規模を図るバロメーターかもしれない。
まるで、ホタルがきれいな水でしか生きられないように、メイドや地下アイドルは都市でしか生きられない。ホタルのいる土地の水がきれいなように、メイドや地下アイドルがいる都市はまだまだ栄えている。そんな生暖かい目で地元の萌文化を見守ってほしいと願う。
最後に、新潟が誇る美人ご当地アイドルグループ「ライスガール」の新曲とともにお別れしたいと思う。
ライスガールで、米色の片思い…聞いてください。

ライター 唐澤 頼充

「新潟は情報発信がヘタ」は嘘だと思う

「新潟はいいものはたくさんあるのに、情報発信が下手でなかなか知られていない」
「奥手な新潟人はPRベタ」
そんな声を聞いたことがある方は多いのではないか?いや、自らその言葉を発したことがある方も少なくないのではないだろうか。
新潟のイメージを聞いたときに、「米」「酒」「雪国」くらいしかキーワードが出てこないという。
だからあまり知られていないと。

一方で新潟人が他県に抱くイメージはどうか?
隣接する県でも山形県、福島県、群馬県、長野県、富山県。果たしてそれぞれの県でどれだけ思い浮かぶイメージがあるのだろう。正直、私はほとんどない。
また、PR上手な都道府県はどこか思い浮かぶところはあるだろうか。沖縄?北海道?京都?彼らが特別PRしているとは思えないし、PR上手だとも思わない。
すべての都道府県を思い浮かべたときに、そもそも「米」「酒」「雪国」というイメージを持ってもらえることの方がすごいと感じる。
そんなものだと思う。
PR上手なんてところはそうそうない。
情報発信が下手なことを言い訳にして、また行政や大企業のせいにしていたところで何も変わらない。
ところで、県のイメージなどに関わらず、実は多くの人が新潟に来ていることをご存知だろうか?
私はちょっとした事情でホテル業と関わりがあり、多様な人が新潟に来ていることを知った。
1013日に開催された「新潟シティマラソン」。ブームになっているそうだが、私はマラソンにはまったく興味がないのでその実情は知らない。しかし、今年は県内外から過去最多の11,924名が参加したそうだ。新潟市内のホテルはほぼ全館満室。通常の4倍近い室料でもホテルが埋まってしまうほどだった。
他にも連休等関係なくホテルが満室になることがある。「国体などの競技大会」「医療者などの学会」「人気アーティストのライブ」などだ。
また、日本海側最大の同人即売会「ガタケット」では、オタクやコスプレイヤーが全国から集まる。
Jリーグのサポーターが自分のひいきのチームを応援しに全国からやってくる。

これらを理由に新潟を訪れた人々は新潟についてよく知っていたのだろうか?新潟を知って、新潟に魅力を感じてやってきたのだろうか?
もちろんNOだ。
そこにあるコンテンツに興味・関心があって訪れている。
マラソンが好きだから、わざわざ新潟まで来て走ることに興じているのである。
そもそも、マラソンに興味がない私は、他の都市でいつ・どんなマラソン大会が行われているのか知らない。しかし、マラソン好きの人にとって見れば、「新潟は10月にシティマラソンがあるところ」「○○県は○月に大会が・・・」といった視点で各県のイメージを持つのではないだろうか?
思えば私は戦国時代が好きだったので、各県と活躍した武将を思い浮かべることはできる。「茨城県?ああ佐竹義昭のいたとこね」といった具合だ。
このように他県に抱くイメージと言うのは多様であっていい。その結果として多くの人が新潟に訪れている。ガタケットで正午に流れる「宇宙大帝ゴッドシグマ」のテーマに合わせてみんなで手拍子がしたくてわざわざ新潟に来る人もいるのだ。
それこそ「米どころ」「酒どころ」というイメージはメディア主導で積極的にPRし成功した結果ではないか。PRが成功したではないか。
だから新潟県民は決して情報発信がヘタとは思わない。
成功した結果が今なのだ。
これ以上はPRでよくならないと考える。
もし、新潟を訪れる人をもっと増やしたいならば、大々的な県のPRをするよりも、コアな活動をする人を応援するほうがいい。だから、新潟県民は新潟県の魅力をがんばってPRすることを考えるのではなく、自分の興味ある分野の活動をどんどんとやって、イベント化し、新潟で行われるコンテンツの種類をどんどんと増やしていくことを考えようではないか。
今では新潟の魅力的なコンテンツのひとつとなった「新潟総おどり」は一人の男が決意して取り組んだコンテンツだ。そのようなコンテンツをたくさん作っていくことがきっと街の魅力につながっていくと信じている。

ライター 唐澤 頼充

ただの人が集客するには? @阿賀野バクハツプロジェクト松村拓也氏講演会10/14

1014日、祝日の月曜日、新潟県阿賀野市で「阿賀野バクハツプロジェクト」の第1回目の取り組みとして「IDD世田谷ものづくり学校初代校長 松村拓也氏 講演会」が開催された。

阿賀野バクハツプロジェクト:https://www.facebook.com/bakupuro
Facebookで招待を受けて初めてイベントを知ったのだが、下記の告知文に惹かれて参加した。

「世界の誰もが経験したことない少子高齢化と人口減少の時代・・・それは「面白いまち」だけが生き残るサバイバル。若者が活躍するまちだけが生き残る、すごい時代がやってくる!」 そう熱く語るのは30億の借金を踏み倒した男!内閣府公認地域活性化の伝道師、松村拓也氏!

参加者はプロジェクトの運営を担う学生団体の影響か学生が多く、それ以外は新潟のソーシャルメディア内でわりとおなじみの顔がちらほら。集客面で苦戦をしている様子が伺えた。今回の講演は下記の三本立てで行われた。
1.はじめに(松村拓也さんの経歴)
2.世界を変える発想法
3.阿賀野への提案
1)阿賀野バクハツプロジェクト
2)ヤンキープロジェクト
3)ソーシャルビジネスコンテスト
「少子高齢化が進む中で、日本中がそうなるわけではなく、栄える街と滅ぶ街に分かれていく。栄える街は間違いなく若者がいる街だ」これが松村氏の考えの根本。
若者が集まり、活発に行動する街を作るためにどうすればよいのか、そんなテーマで講演は松村氏の経験をふんだんに盛り込んで進んだ。
そもそも松村氏は自分が社長を務めた会社の倒産を経験したりと、異色の経験を持つ人だ。興味のある人はwikipediaを参考にしてほしい。
倒産という、普通の人には一生出会うことがないかもしれない経験を元に、起業家支援を行うとともに、世田谷ものづくり学校やソーシャルビジネスコンテスト、起業家の家などさまざまなことに挑戦する姿には学ぶべきものが多くあった。
特に印象に残ったのは、さまざまなプロジェクトを立ち上げた松村氏の「集客方法」。
最近は、インターネットやソーシャルメディアの普及により、素人がイベントやプロジェクトを立ち上げやすい環境が整ってきている。その一方で、挑戦してみたものの集客に苦戦するという話はいたるとこで耳に入ってくる。
そのような中で松村氏は「集客と広報は別」だと語った。
広報とは、チラシやポスターを作りばら撒いたり、ネットやSNSで情報発信すること。集客とは一本釣りだという。
そして当日の参加人数はできる限り「集客」で確保し、「広報」には頼らない姿勢が大切だそうだ。
「広報をいくらがんばっても、来てくれるかどうかはわからない。それはギャンブルに近い。それよりも、知り合いに直接電話やメールをして“YES”と言わせる。脅してでもだ」
「イベントの最低参加人数はそうやって個別にお願いして確保している」
ただの人でも不特定多数に情報がばら撒きやすいツールは数多く登場している。しかし、それなりに知名度のある人であっても泥臭い「集客」を欠かさないのだ。私自身も耳が痛いのと同時に、多くのコミュニティ運営者やイベント関係者の参考になるのではないだろうか。
そう言えば劇団などの公演でも、役者ごとにチケットの販売枚数がノルマで決まっているケースがあるという話も聞く。メディア等を活用している大きなイベントでさえそうなのだから、ただの人である我々はより集客の努力をしなくてはいけないと痛感した。
イベントやコミュニティに人を集めるためには、広報して待っているだけではいけない。こちらから個別にプッシュして確約をもらうことが重要である。そんな基本的なことに改めて気づくことができた貴重な時間となった。

ライター 唐澤 頼充